罪を犯した人に対する専門家の保護観察官は、一人で何人の人を担当しているか? | 夢は、世界中の再非行を減らし、笑顔を増やすこと

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僕は、情けないことですが、再非行を増やし、笑顔を減らしてきた、元非行少年
今の夢は、世界中の再非行を減らし、笑顔を増やすこと
自分と未来は変えられる
でも、一人では変えられない

日本では、罪を犯した人に対する処遇は大きく分けて、2つある。
施設内処遇と、社会内処遇。
 
施設内処遇は、少年であれば少年院、成人であれば刑務所。
社会内処遇は、少年であっても成人であっても保護観察。
 
今日、再サポが運営している自立準備ホーム「4sホーム」に入居している少年との面接のために、保護観察官が少年の部屋に足を運んでくれた。
午前と午後に分けて、合計2人の少年の面接をおこなってくれて、僕も同席させてもらった。
 
保護観察官は、すごく丁寧に面接をしてくれて、少年の幸せや、これからの未来のことを考えたり、少年と一緒に悩んだりしながら、面接をしてくれた。
 
1人の少年の面接が終わったあと、保護観察官と僕の二人でラーメンランチをさせてもらった時も、保護観察中の少年たちの幸せについて熱く語り合わせてもらえた。
 
2人目の少年の面接に向かう途中で、保護観察官に質問をさせてもらった。
「○○さんは、一人で、何人の人の保護観察を担当しているんですか?」
 
答えは、約70人だった。
※地域や年代によっては、一人の保護観察官の担当人数は違うそうです。
 
すごく不思議に思っていることがある。
施設内処遇である少年院・刑務所では、365日24時間、緊急的なことや、トラブルなどがあれば対応可能だと思う。
 
でも、社会内処遇である保護観察では、国家公務員である保護観察官が一人で約70人前後の人を担当している。
結果として、一人で約70人の人と定期的な面接をしたりすることは難しい。
実際に、4sホーム尾張に入居している少年が4名いるが、1名は担当保護観察官と一度も会ったことがないし(担当保護観察官がさぼっている訳ではなく、不在だったため他の保護観察官が対応してくださった)、今日、面接してもらった少年の内の1名は担当保護観察官と会うのは今日が初めてだった。
 
少年院や刑務所の中で罪を犯すことは考えにくく、社会の中で罪を犯さないことが大切なのに。
 
僕は、保護観察官個人が悪いと言っている訳ではなくて、むしろ保護観察官個人の方々は本当に情熱にあふれた方ばかりであることをいつも感じている。
でも、問題なのは仕組みだと思う。
 
国家公務員である保護観察官が、一人で約70人前後を担当して、全員と面接ができていない(他の保護観察官が面接はおこなっているが)状況がある。
保護観察の人たちは、近所の保護司さんの自宅、または、更生保護サポートセンターに月2回通い、保護司さんの面接を受ける義務がある。
人によっては、保護司さんとの2回の面接+保護観察の人の家に保護司が月1回訪ねてくることもある。
ここで、もう一つ僕が不思議だと思うことは、保護観察の人と最も多く面接をしているのは保護司であるが、その保護司がボランティアであること。
 
僕は、本業は福祉の仕事をしている。
福祉と罪を犯した人に対する対人援助を比較するのは、適切ではないかもしれないけど、比較させてもらう。
高齢者福祉だと、福祉サービスを受ける人のケアプランは、ケアマネジャーという人が作成している。
障害者福祉だと、福祉サービスを受ける人のサービス等利用計画は、相談支援事業所の相談員が作成している。
役割とすると、ケアマネジャー、相談員、保護観察官は、類似している部分はある。
民間と公務員という違いなどはあるが。
 
ここで決定的な違いは、ケアマネジャー・相談員が作成した計画に沿って、利用者を支援している人たちは、基本はボランティアではない。
でも、保護司はボランティアである。
ここでも僕は保護司が悪いと言っている訳ではなくて、自分を約6年担当してくれた保護司のことは心から尊敬と感謝をしているし、この活動を通して出会わせてもらった多くの保護司さんたちのことは大好きだし、学ばせてもらうことばかりである。
個人的なことだけど、明日から日曜日までは懇意にしてくださっている東京の保護司さんのご自宅に、家族と一緒に泊まらせていただけることになっている。
 
僕が言いたいことは、対人援助の現場で対象者と最も多く接する人が、ボランティアであるという日本の更生保護の仕組みがすごく不思議だということ。
不思議というか、この仕組みはさまざまな方と協議を重ねながら、再構築するべきだと思う。
 
最後にまとめさせてもらうと
・一人の保護観察官が約70人前後の人を担当して、担当保護観察官が自分の担当している人と一度も会ったことがない状況を生み出している仕組みを、是正に向けて検討が必要だと思う。
・保護観察中に最も多く、保護観察の人と面接をしている人がボランティアであるということについて、関係者や市民などで協議を重ねて、再構築する必要があると思う。
 
話しは変わりますが、昨日、とても心配していた少年と一緒にご飯を食べた。
その少年は今日から長めの出張だった。
出張に行くためには、朝の6時に会社に自転車で行かないといけない。
 
朝、少年に確認をしたらきちんと出張に行けていた。
念のため、こっそり5時40分ぐらいに自転車があるか確認に行ったら、なかったので、心から胸をなでおろした。(多くの非行少年の保護者さんは、今の僕よりも、毎日のように不安と希望を行き来されていると思う)
でも、まだまだ油断はできないので、これからも少年と共に長期戦の気持ちで生き直していきたい。
 
1人の非行少年が生き直しをするということは、1人の非行少年だけが笑顔になるだけではない。