全体稽古が終了して、もう数時間。夜の稽古場から一幕の序曲が聴こえてきます。

覗くともう誰もいない稽古場に、音響の二人がいました。

今回オンディーヌの音響を担当しているのは、12年間、自由劇場でほぼ全てのストレートプレイを担当してきた戸高。そして、戸高と三年に渡ってペアで仕事をしている梅本、の二人。

音響で一番気をつけていることは何か?と尋ねると、
「語感を大切にすることです。」
と返ってきました。

俳優達と同じくこの戯曲の台詞をを感じ、その言葉のイメージやニュアンス、「語感」がお客様に届くように。

俳優と一体になって言葉を紡ぐ様に音楽を作り出す。

そしてその為に必要な一つとして、今は音が聴こえる位置のバランスを調整をしていると教えてくれました。

演出家 浅利慶太氏から俳優に稽古場で出される数々のダメだしの言葉。

「一言一言大切に言葉のイメージで喋る。自分の皮膚感覚で喋る。」

「語感を自分に引きつけて自分から言葉を離さない。」

「気持ちでは無く台詞に書かれた言葉のイメージを大切にする。その為には耳についた音を捨てて自分の持っている本来の語感で喋ること。」

「そんなシャワーみたいにジャージャー流して台詞を言わないで。


長年ストレートプレイの現場で、この様なダメ出しを聞き学んできた音響の二人は、今日も俳優と一緒に観客の皆様に言葉のイメージを届ける為、音響卓に座ります。

開幕まであと少し。
スタッフ、俳優一丸となって
今日も稽古は続きます。