日向ぼこ呼ばれて去ればそれきりに    中村汀女
歳暮ともつかず贈りて恋に似る       上村占魚
風邪引いて卵割る角探しをり        田中哲也「小熊座」
短日の燃やすものもうないかしら      池田澄子「船団・豈・面」

家族の誰かと日向ぼこ
話の続きを聞きたい又は話したいと思って待っているのに
「呼ばれて去ればそれきりに」
呼ばれた方はそれを潮に自分の領域に戻ってしまったということだ
鹿児島に美味しい薩摩揚げのお店を知っている
ネットで簡単に贈ることができる
今年も何人かに贈った
誰彼と贈りたくなるものだ恋に似て・・・
恋に似て本当に贈りたい人には贈らなかった
風邪の身体は手元も危なっかしい
卵の殻は尚更デリケートだ
割り方次第では殻の内側が上手く破れなかったり
殻が混じったり、うっかり中身が出てしまうことがある
市街地では気楽に燃やしたりはできないが
年が押し迫れば、不要のものは燃やしてしまいたい
私だったら「短日の棄てるものもうないかしら」となる
シンプルな暮らしは家事労働を少なくする
「炎」には人を飽きさせない魔力がある
原初の頃の血が騒ぐということか、、、

”石投げて凍空木端微塵にす”    蓼
読売新聞の編集手帳に面白い記事があったので一部紹介する
 「虎」の異名を取ったフランスの政治家で、
首相も務めたジョルジュ・クレマンソーには新聞記者の経歴がある。
「ラ・ジュスティス」紙で主筆をしていた当時の逸話が伝わっている
新人記者から記事を書くうえでの心得を聞かれた。
「簡単なことだ。短い句で書けばいい。
動詞がひとつ、主格がひとつ、それから…」。
少し考えて、つづけた。「もしも形容詞が使いたくなったら、
おれのところへ聞きに来い」文章は形容詞から腐るという。
読者を驚かせ、心を揺り動かす事実ならば、その事実を淡々とつづればよく、
余計な飾り言葉は要らない。
「形容詞無用の事実を拾え」という取材の教えでもあったろう、、、、