四柱推命な日常が聞こえる」のちぐささんから、シュタイナー学校のことについてふれられた内容の興味深いメールをいただきました。

 

 最近では、シュタイナー教育とか、シュタイナー学校というものの認知度は高まりつつあるのですが、あれはまさに、ドイツの哲学者ルドルフ・シュタイナーが提唱した教育方針や学校のことです。

 

 シュタイナー学校というのは、シュタイナーの教育理念に基づいてはいますが、さほどルドルフ・シュタイナーの思想や世界観に結びついている訳ではありません。

 

 逆に僕は、それで良いと思います。

 

 おそらく今の一般的な日本人にルドルフ・シュタイナーの思想や哲学を伝えようとしても、曲解や誤解を与えたり、ひどい場合にはカルト宗教と混同されてしまう危険さえある気がしますね。

 

 もう4年以上も前のことですが、レイライン研究家で登山家の内田一成先生とお話しさせていただく機会があったんです。

 

 内田先生はレイラインだけではなく、エリファス・レヴィとかアレイスター・クローリーなどといった、オカルトの歴史学にもとても造詣がある方で、二人でマニアックなオカルト思想の話で盛り上がったのですが、その時、内田先生も「シュタイナー教育は素晴らしい」とおっしゃっていました。

 

 でも、シュタイナーの人智学(神智学)思想については、「シュタイナー教育は素晴らしいのに、あれはちょっと……」みたいな感じでした(笑)

 

 だから、シュタイナー教育とシュタイナーの思想というのは、別個に分けて考えた方がいいように思うんですね。

 

 僕も最初、シュタイナーの思想のことを手っ取り早く知りたいと思って、いわゆるシュタイナーの入門書である「ベーシック・シュタイナー」という本を読んでみたんです。

 

 とても分かりやすい本で、シュタイナーの人智学思想のについて簡潔に述べられていて、ルドルフ・シュタイナーという人の人間力の深さに感動しました。

 

 おそらく、人格者という意味において、これより上は存在しないように思いますね。

 

 とはいえ、その入門書に書いてある人類の誕生の話とか、地球から太陽や月が分離する話とか、訳の分からない話を読んだ時には、さすがに僕も拒絶反応を起こしました。

 

 いきなり何の前置きもなく、そんな証明不可能の記述を読んでしまったら、誰だって引くと思います。

 

 去年までの一年半の長い休みの間(今思えば、この休みは天がシュタイナーの本をじっくり読ませるために与えてくれた時間のように思えてなりません)、これまで手をつけるのが億劫だった「シュタイナーの四大主書」と呼ばれる4冊の著作を読み始めてみたのです。

 

 シュタイナーの四大主書を古い順に並べると「自由の哲学」「デオゾフィー(神智学)」「いかにして高次の世界を認識するか」「神秘学概論」となります。

 

 僕は、一番最初に「いかにして高次の世界を認識するか」、二番目に「デオゾフィー」、三番目に「神秘学概論」で、今ようやく「自由の哲学」を少しずつ読み始めています。

 

 この順番で読み始めて、本当に良かったです。

 

 というのは、著作を読んでいく順番を間違えてしまうと、よほどの人ではない限り、曲解や誤解の原因になりかねない気がするんです。

 

 四柱推命の用神取用法だって、火の五行がとても強くて、炎が燃え上がっているような命式には、最初に金の五行を補ってから水の五行を補います。

 

 もしも、最初に水の五行から補ってしまったら、「水火激冲」となって、とんでもないことになりかねません。

 

 僕の自然派四柱推命講座で、中級講座の受講資格は、初級講座をすでに受けている人に限定しているのも同じ理由で、初級講座の基礎知識の土台がない状態で、中級講座のやたら実践的で詳細な内容を詰め込んでしまうと、曲解されて誤用されかねない危険があるからです。

 

 例えば、もしもシュタイナーの「神秘学概論」を最初に読んでしまったなら、多くの人はシュタイナーに、その辺によくいる新興宗教の教祖と同じような認識を持ってしまうように思います。

 

 逆に「自由の哲学」という本はシュタイナーの純粋な哲学書で、オカルト的要素が全く書かれていないので、誤解されるリスクは少ないですし、そういった意味では真っ先に読んでも良い本だとは思うのですが、逆にとっつきにくくて投げ出したくなります。

 

 今こうして、「自由の哲学」を手にとって読んでみると、すごく深いことが書いてあるということに気づかされるのですが、やはり読み進めるのに集中力がいるし、あまりに心身が疲れている時には、内容が小難し過ぎて先に進めません。

 

 そういった意味でも、僕はシュタイナーで最初に読むのは「いかにして高次の世界を認識するか」が、ベストのような気がします。

 

 「いかにして高次の世界を認識するか」を読んで「デオゾフィー」を読んでから、「神秘学概論」の中の「地球から、太陽が分離して、その後で月が分離して……」というくだりを読んで見ると、シュタイナーがただ単に空想のイメージの概念だけで、この言葉を書いたのではなく、ちゃんとドイツ人らしく理路整然と考察した結果、でき上った言葉だったことがとてもよく分かります。

 

 とはいえ、中には一冊目の「いかにして高次の世界を認識するか」を読んでみて、「自分の心の自由が奪われて、型にはめられるように感じた」という感想を持つ人も出てくるのではないかという気はします。

 

 成功をつかんで、豊かな暮らしができることこそ、何よりも人生で最優先…… と考えるタイプの人には、この本に書かれている内容は、説教がましくて無意味なもののように認識されてしまう可能性が高いように思いますね。

 

 でも、そういったタイプの人で集中力がある人だったら、「自由の哲学」から読んでみるのも良いと思いますし、いっそのこと、シュタイナーの思想とは切り離して、シュタイナー教育にだけ興味を持つのも面白いと思います。

 

 僕も、一年半の休みの間に、シュタイナー教育というものに興味を持って、いろいろと調べたりしたんですよ。

 

 シュタイナー教育と一般的な日本の学校教育との違いをさらっと述べれば、一般的な教育のほとんどは、子供に知識をどんどんと詰め込んで学力を伸ばそうとしますが、シュタイナー教育はそうではなく、その子の個性や適性を何より尊重して、その子が元から持っている能力を最大限に引き出そうとする点にあります。

 

 もちろん僕に子供がいる訳ではないのですが、将来もし、まかり間違って天から子供を授かった時には、ぜひとも、シュタイナー教育を受けさせてあげたいなあ…… と思っています。