新幹線で京都まで行き、そこから近鉄線に乗り換えて、特急列車で橿原神宮前(かしはらじんぐうまえ)へ……
この駅で伊勢から来てくれた月美結貴さんと待ち合わせて、パン屋さんとコンビニで夕食の食料を買い込み、吉野行の電車に乗り込みました。
食料を先に買い込んだのは、吉野山にはコンビニはなく、夜になるとほとんどのお店が閉まってしまうからなんです。
無事に、吉野駅に到着しました。
東京と同じく関西でも、昨日までは雨模様だったそうですが、今日はさわやかな良い天気です。
そしていよいよここからが、楽しい旅の始まり……
新緑の鮮やかな緑とさわやかな風が、もう最高に気持ち良いです。
ロープウェイで千本口から吉野山へと登り、今夜、宿泊する吉野館に先に立ち寄って荷物を置かせてもらい、目的地の一つである金峯山寺蔵王堂(きんぶせんじ ざおうどう)へと向かいました。
僕にとっては全く初めての場所ですが、何故か不思議と懐かしい場所のような気がしてきます。
以前、大峯千日回峰行を達成した塩沼亮潤阿闍梨(あじゃり)の本を読んでいた時、この蔵王堂の写真が出ていて、それで思い出したからかもしれません。
月美さんがお勧めしてくれたのは、夕方から行われるこの蔵王堂での夕座勤行(ゆうざごんぎょう)……
でも勤行が開始される16時30分までにはまだ時間があるので、金峯山寺の塔頭寺院(たっちゅうじいん)である脳天大神龍王院へ行くことになりました。
この龍王院は、首から上の願い事に霊験あらたかな月見さんお勧めの場所です。
そういえば僕、六十干支講座のテキスト作りで長い時間パソコンとにらめっこしていたせいか、ずっと首の左側が痛かったのです。
脳天大神龍王院へは、この長い階段を下へ下へとくだっていきます。
この階段の数は、なんと450段……
脳天大神って、なんかとても変わったネーミングですが、金峯山寺の初代管長である覚澄(かくちょう)大僧正が滝の修行場を探して、ついに見つけられた場所がここだったということです。
覚澄大僧正が、この場所を修行場にしようと工事を始めたのですが、その途中で、覚澄大僧正は頭を割られて死んでいる蛇を見つけ、それを哀れに思って、経文を唱えてねんごろにその蛇を葬ったそうです。
すると、その蛇が何度も覚澄大僧正の枕元に立ってお礼を言い、「我を頭の守護神として祀られたし」とお告げをしたというのが、この脳天大神のいわれだそうです。
この蛇こそが、実は蔵王権現様の化身だったのですね。
ここは、行者の修行に使用する滝です。
多分ですけど、塩沼亮潤阿闍梨が大峯千日回峰行の時、毎朝打たれていた滝ですね。
脳天大神龍王院の本堂に手を合わせ、社務所でお守りを授かったら、お下がりのゆで卵がいただけました。
蔵王権現の化身の蛇の神様の大好物ということで、ゆで卵という訳です。
450段の階段を下りたのは良いのですが、これをまた上がるのは、半端なくしんどいですね(笑)
月美さんと息を切らしながら、階段を上って元の蔵王堂へとたどり着きました。
蔵王堂の夕座勤行に参加すると、驚くべきことに、月美さんと僕以外誰も参加者が誰もいません。
普段は人でごった返しているということですが、ちょうど桜のシーズンが終わり、オフピークだったのですね。
たった二人で、蔵王堂の全ての仏様を完全に独占した形となりました。
蔵王堂のご住職とお経を上げながら(と言っても、僕は観音経が分からないので、般若心経以外はほとんど唱えられなかったのですが……)最高に贅沢な時間を過ごしました。
吉野館に戻って、広いお風呂に入って夕食を済ませ、この日は早めに休みました。
思う存分、吉野の旅を満喫しています!!