たまたま、赤木真理さんが調べてくれた、秦(しん)の時代の日書に書かれていた「卯(兎)に鬼が当てがめられたのは、文字の間違い……」という話題から、鬼の話が続いてしまっています。

 

 という訳で、今日も調子に乗って、またしても鬼の話題です(笑)

 

 日本では「鬼」というと、いわゆる赤鬼や青鬼みたいな、でっかい体でツノが生えてて怖い怪物というイメージですが、元々の中国にあった鬼のイメージというのは、霊魂(死霊)とか幽霊みたいな存在だったんです。

 

「幽鬼」という言葉がありますけど、まさしくその言葉のイメージです。

 

 つまり元々、鬼とは「この世のものではないもの」という意味だったんですね。

 日書で「卯」に文字の間違いで当てはめられた鬼も、おそらく、こういった幽霊みたいな存在のことだったと思います。

 

 その後、鬼という概念が中国から日本に伝わってきたのは、6世紀か7世紀ぐらいの時代だと言われています。

 

 鬼の概念が日本に入ってくると、どういう訳か、いわゆる西洋のオークやゴブリンのような実体化している邪悪な種族のように、鬼がとらえられるようになりました。

 

 もちろん、こういった複数の動物の混血によってできたモンスターのような概念は、古代中国で生まれた奇書「山海経(せんがいきょう)」にもあります。

 この春秋戦国時代から、秦王朝・漢王朝の頃に書かれたとされる書には、牛と虎を合体させた鬼に近いようなモンスターもいて、日本の鬼のイメージがこの山海経からの影響を受けていた可能性は、十分にありますね。

 

「鬼滅の刃」に出てくる鬼は、まさにこんな感じの "もののけ" の類いのバンパイアに近い存在として、描写されています。

 

 それに比べると「転スラ」とかは、通常、忌み嫌われるモンスターであるゴブリンとかオークなんかが、ほのぼのとした味方キャラの描写で描かれて、何だか好感が持てますね。

 

 1年半の長い休みの間、一日中だらだらとネットでアニメを見ていたのですが、今思うと、あの休みの間に、これまで自分が知らなかった、いろんな世界観に浸ることができました。

 

 話が少しそれてしまいましたが、中国から伝わってきた東洋系の占いで、「鬼」という字が入った星が出てきたら、通常は中国の鬼のイメージである「霊」に関する星としてとらえる必要があります。

 

 ちなみに史記の中に、蘇秦(そしん)や張儀(ちょうぎ)の師として登場する鬼谷子(きこくし/正しくは「鬼谷(きこく)」)は、道教では「古の仙人」として扱われていて、いつの間にか、占いの世界の開祖のような存在になってしまいました。

 

 現に、四柱推命のプロトタイプである唐の時代に書かれた「李虚中命書」に紹介している占術の方法は、あたかも鬼谷子から伝承されたかのような書き方になっています。

 

 とはいえ、鬼谷子が活躍していたとされる時代は、鄒衍(すうえん)が相剋五行を説いた時代よりも少し前ですから、仮にこの鬼谷子が実在する人物であったとしても、この人を現代の東洋占術の開祖とするには、ちょっと無理があります。

 

 ちなみに、この鬼谷子の名前の「鬼」なんですが、彼が隠棲(いんせい)していた山西省沢州府の地名「鬼谷」から、そのままとったものです。

 

 あと、東洋の占いの世界だと「五鬼(ごき)」という名称が、頻繁に出てきます。

 

 なぜか「五鬼」なんですね。四鬼とか六鬼とか他の数ではなく、どういう訳か「五」です。

 

 話は少しそれますが、日本の四柱推命では、「空亡」というものがやたら取り上げられて重要視されていますが、一般的に我々が空亡として認識しているものは、正式には「六甲空亡」と呼びます。

 

 それ以外にも、空亡というのはたくさんあって、天上空亡、禄入(大敗)空亡、破祖空亡、剋害空亡、日座空亡、截路(せつろ)空亡、十大空亡…… とあげたらキリがありません。

 

 この中でも、日座空亡と截路空亡は、他の空亡に比べると少しだけ有名でしょうか。

 

 それで、こういった空亡の中に「五鬼空亡」というのもあるんですよ。

 

 鬼が空亡するって一体……

 

 四柱推命において「五鬼」というと、自分(主体)が剋する五行の十干のことを言います。  ちょっとだけマニアックなので、四柱推命に興味のない人はスルーしてください……

 

 四柱推命では、陰陽が同じで主体(ほとんどの場合日主)を剋してくる十干のことを「七殺」と呼んで、「偏官七殺」などというネーミングで呼ばれることもあるのですが、この七殺とはいわゆる通変の「偏官」のことです。

 もちろん、紫微斗数などの他の占いの七殺は、この限りではありません。

 

 それと同様に、四柱推命では陰陽が同じで主体(ほとんどの場合日主)が剋す十干を「五鬼」と言います。つまり通変の「偏財」のことです。

 

 風水や紫微斗数にも「五鬼」というものがありますが、四柱推命のような意味はありません。

 この五鬼空亡の算出法は、どう考えても四柱推命の偏財とは無関係なので、こういった他の占いの要素によってできあがっているように思います。

 

 五鬼空亡があると、一生に渡り貧困になるらしいです。

 ちなみに僕の命式にも、五鬼空亡があります。

 

 というか、僕の命式は他の種類の空亡もいっぱいあって、まるで空亡のデパートです(^^;;

 

 一つだけ言えるのは、こんな五鬼空亡なんてくだらないものは、気にしなくて良いと言うことです(笑)

 

 宿曜占星術には「鬼宿」という宿があります。これは、悪い意味の鬼ではなく、その宿の性質を表しています。

 

 この鬼宿のイメージは、日本でおなじみのツノが生えている鬼ではなく、霊魂やスピリットという元々の中国の鬼のイメージの方から来ていますね。

 

 ということで、鬼のことをいろいろ調べまくっていたら、すっかり時間を費やしてしまいました。

 

 まだ、六十干支講座の最終日のテキストもまだできあがっていないというのに、余裕ぶっている場合ではないですね(^^;;

 

 先手必勝…… 今から来週の土曜日(4月20日)の講座の分のテキストに取り掛かります!!