半年ほど前に、伊勢に住んでいる月美結貴さんから、「今年は、弘法大師が生誕1250年目の節目にあたる」というお話をお聞きしました。
弘法大師・空海は、いわずとしれた真言宗の開祖であり、高野山金剛峯寺は空海が開いた総本山です。
僕は空海という偉大な僧については、あまりにも無知なのですが、ほんの少し空海のことをかじるだけでも、仏教界の天才というか、スーパーマンぶりがうかがえます。
月美さんから、空海が生誕1250年の節目に当たるというお話をうかがって、できれば今年中に高野山に行けたら良いな…… と思っていたのですが、僕に高野山行きを決定させたのは、ある宿坊の存在でした。
その宿坊とは「蓮花院(れんげいん)」……
ここは徳川総家菩提寺であり、徳川家歴代宗家の位牌や、家康公、秀忠公尊像も祀られている由緒ある宿坊…… さらに今年はちょうど五年に一度、家康公がご開帳されるそうなのです。
なんと朝の勤行に参加すると、徳川家関連の位牌や貴重な仏像を拝観させていただけるというお話……
徳川家康マニアの僕としては、せっかく弘法大師生誕1250年の節目ですし、何が何でも今年この宿坊に泊まりたいと思いました。
弘法大師についてすごく詳しい月美さんが、ちょうど12月8日に近くの宿坊に宿を取って、高野山巡りをするというので、今から2ヶ月ほど前、僕はこの蓮花院に宿泊予約をしようと電話をすると……
「12月8日はお休みなんです」と、丁寧に断られてしまいました。
蓮花院に泊まれないのなら、今回は高野山に行くのはやめておこうかな…… とあきらめて電話を切ろうとした時、蓮花院の受付の方から、「お客様は、どうして当宿坊を選ばれたのですか?」と聞かれました。
僕は徳川家康の大ファンであることを伝えて、小さな頃から家康の生き方をお手本にしているんですとか、携帯の待ち受け画面も静岡駅の竹千代像なんですとか、思わず熱く語ってしまいました。
すると何と、「わかりました。本当は12月8日はお休みだったのですが、特別に宿坊をあけることにしましょう」とおっしゃってくださったのです。
「それほどまでに、徳川家に心酔してくださるお客様のような方を、お断りする訳にはいきません」と、電話口の方はおっしゃいます。
何とその日は僕一人のために、従業員の方を集めて、宿坊を営業してくださるとのこと……
あまりにありがたくて、思わず電話口で頭を下げながら、何度もお礼を言いました。
そして、あっという間に2ヶ月間が過ぎ、今日がその12月8日当日……
昨日までに提出されていた100問テストの採点と返却、メールの返信など、最低限の一通りの仕事を済ませ、高野山に向かうべく今、東京から新大阪の新幹線の中にいます。
この後、難波から南海線に乗って高野山へと向かい、夕方の4時には蓮花院に到着予定です。
徳川家の菩提寺の宿坊での宿泊、何だかとてもワクワクします。