今朝も日差しが当たって、東京は11月とは思えないほどに暖かいです。

 何の連絡もしないまま一年半も長い休暇を取ったせいで、もう二度とつながれないかと思っていた方から、ここ最近、次々に連絡をいただけたりして、本当にありがたいなあ…… と思わずにはいられません。

 

 さて、今日もまた性懲りもなく、インテグラル理論ネタです(^^;;

 今回は、グローイング・アップの第5段階「オレンジ」について、見ていきましょう。

 

 オレンジは第5段階ですから、かなり高い段階であることは確かです。

 別に段階が高いほど良いという訳ではありませんが、段階が高まれば高まるほどに、視野が広くなっていくのは事実です。

 

 インフラレッド、マゼンタ、レッドの3つは、基本的に自分のことだけに視点がいっている状態なのに対して、第4段階のアンバーでは自分が所属する集団にまで、その視点が広がりました。

 

 そして、今回のオレンジの段階では、この「自分が所属する集団」という縛りからも開放されて、本当の意味での自由な存在になることができます。

 その視点は世界全体のことまで考えられるグローバルなものとなり、民族意識や人種に起因するような偏見もなくなります。

 オレンジの段階は、それぞれの人がお互いを尊重し合い、切磋琢磨して高め合っていく発展的な段階です。

 

 第5段階に「オレンジ」という色を当てはめたのは、クレア・グレイブスの「スパイラル・ダイナミクス」を引き継いで完成させたドン・ベックとクリス・コーワンの二人ですが、ケン・ウィルバーもこの段階の色の対応をそのまま使っています。

 

 オレンジの明るくて発展的な色合いは、まさにこの第5段階にピッタリです。

 

 このオレンジの段階が現れたのは、歴史的にはヨーロッパで啓蒙主義が起こった頃で、今からおよそ300年ほど前のことです。産業革命が起こり、科学が急速に発展し始めたのもこの頃です。

 

 今日では、世界の成人人口の30%がこの段階を占め、社会的な勢力としては50%を占めている最も主要な段階です。

 

 このオレンジの段階の素晴しいところは、世の中を進化させて、未来を変えていく力を持っていることです。

 

 5000年も前からずっと続いていたアンバーの世界観では、時間が止まっていたようになっていた世界の時計の針を動かして、一気に時間を推し進めてくれたのは、まさしくこのオレンジの段階の人たちです。

 

 オレンジの段階は「合理的段階」とも呼ばれていて、常に目的意識を持ち、自分の目標の達成を目指して、自らの可能性を信じて立ち向かっていくことができます。

 そして、人を活かすということも、よく知っています。

 オレンジの人物像は日本の歴史でいうなら、自信家で実践家の豊臣秀吉のイメージに近いでしょうか。

 

 現代の主流となる考え方で、この世界が今日ここまで発展してきたのは、このオレンジの段階の人たちによる恩恵が大きいでしょう。

 そして先進国では例外なく、このオレンジの思考が主流を占めています。

 

 ケン・ウィルバーは、およそ現代の世界は、オレンジの段階とアンバーの段階による深刻な闘争状態にある…… と言っています。

 すなわち、先進国(オレンジ)と、個人を尊重しない社会主義国家や自民族中心的な国(アンバー)との対立の構図で、今もこの二つの世界の勢力は、お互いにいがみ合いながら存在しています。

 

 ちなみに、オレンジの性質を五行にあてはめるなら、間違いなく「木」です。

 オレンジの段階も木の五行も、発展的なエネルギーそのものであり、どこまでも上へ上へと高みを目指して伸びていきます。

 もし、木の五行の段階が、さらにオレンジより上に存在するとすれば、僕の想像ですが多分「バイオレット」の段階ではないかと思っています。

 

 僕が思うに、このオレンジの段階というのは、どこかゲーム感覚で、人と勝負を競っているような所がありますね。

 よく巷で言われるような「勝ち組」とか「負け組」などという概念の中で、生きているのもオレンジです。

 まあ、世の中全体がオレンジの世界観ですから、あんな言葉が流行るのでしょうけど……

 

 とはいえ、オレンジの思考が悪く出てしまうと、目標を達成させるためにした自分の決断が、例え誰かに損害をこうむらせることになったとしても、それはそれで仕方がない…… と考えるようになります。

 

 人生はゲームなんだから、ゲームに負ける人が出ることは当たり前であり、また、もう一度立ち上がって再挑戦すれば良いじゃないか…… という思考です。

 一言でいうと、冷たいんです(笑)

 

 オレンジの世界観の背景は競争社会そのものですから、そもそも他の人たちと共存していくという考え方がありません。

 そんなことを言っていたら、こちらが「負け組」に入ってしまう…… という訳です。

 

 こういった共存という視点が出てくるのが、この後のグリーンの段階です。

 とはいえ、オレンジにはこういった価値観がないので、例えば、グリーンの人間がオレンジの人に「そのやり方だと他の人に迷惑がかかる」みたいな話をしても、理解してもらうことができません。

 

 レッドの段階の日和見主義や、アンバー段階の追従主義と混同されてしまいます。

 

 これは実際に、二年前に組んでいた会社を一緒にやっていた人たちと僕とのやりとりにあったことなんですけど、僕がこういう話を切り出すと「結局の所、損害をこうむってしまう相手から責められるのが、恐ろしいんですね」(レッド段階の日和見主義との混同)とか、「貴方は特別なんですから、そんな風に人に迎合する考え方を乗り越えて、もっと大きくなりましょうね」(アンバー段階の追従主義との混同)みたいな答えが返ってきて、全く理解されないのです。

 

 決して悪い人たちではなかったのですが、僕とは思考の段階(ミーム)が違うので、結局の所、理解し合うことが不可能なんですね。

 

 とはいえ、必ずしもグリーンの価値観がオレンジよりも優れているという訳ではありません。

 また、次回のブログで書きますが、グリーンの価値観には狭量で独善的な一面があって、物事の発展性ということに関していえば、むしろオレンジの方がグリーンより上だと思います。

 

 今のこの世界は、オレンジの思考段階のリーダー達が牽引によって、これほどの発展を遂げることができたことは事実です。

 

 オレンジの段階がさらなる視点を持つことで、世界で絶対的な多数を占めているアンバーの段階をはじめとした全ての人たちを納得させられる、本当に理想的な社会が実現するのではないかという気がしますね。