ここの所ずっと仕事三昧で、一昨晩は久しぶりにお酒を飲んだのですが、翌日にお酒が残ることもなく、またいつものように仕事をこなしています。

 こうして、また仕事に復帰できたことが、本当にありがたく感じます。

 

 さて、昨日のブログの話には、まだ続きがあります。

 

 五気調整術協会の水木杏香先生とお酒を飲みながら、お互いに好き放題に語りあっていたのですが、こうして思い出してみると、結構深い内容を話しているんですよ。

 

 水木先生は、僕のように占いに興味をひかれてこの世界に入ったのではなく、元々、漢方の世界や薬膳のプロフェッショナルで、その過程で五行に出会い、それをつきつめているうちに、四柱推命にたどりついたという流れです。

 

 漢方では、五行の気の流れを調整することで、体を治していきます。

 もちろん、漢方には他にも覚えなければいけないことが山ほどありますし、単純に五行だけで解決できるという学問ではありませんが、それでも、その基本ベースには五行があります。

 

 そういった意味では、四柱推命も全く同じです。

 

 四柱推命の真髄は、人の性格とか未来に起こることを言い当てることなんかではなく、漢方と同じように、五行の気を調整することによって、その人の個性を伸ばし、人生の可能性を最大限に引き出すことにあります。

 

 その為にも、四柱推命理論の根底にある五行の理解を深めていく必要があります。

 

 水木先生とお酒をくみ交わし、ほろ酔い気分で、テンションも程よく上がってきました。

 

 会話の方も、精神世界のマニアックな内容になっていきます。

 小さなお店で飲んでいたので、お店の人にも全部会話がつつぬけでしたが、おそらくあの内容は理解不能だったと思いますね。

 

 お酒がある程度まわってきた頃、「目に見えない世界に存在している、五行の正体とは何だろう……」という、全くつかみ所のない話の展開になっていきました。

 

「金は何だと思いますか?」と僕が水木先生に聞くと、

 

「金は硬くて融通が利かないもの、白か黒かを鋭く切り分けていくエネルギーで、質量が大きいから簡単に動かせない……」と水木先生が答えてくれました。

 

 水木先生の話を聞いているうちに、金の五行のビジョンが明確に浮かんできたので、そのイメージしたままを僕は水木先生に伝えました。

 

「硬くて鋭い鋼のような軸が、天から垂直に突き立てられているようなエネルギーが、金の五行の本質かも知れませんね。老子の道教には『天地は仁ならず、万物をもって芻狗(すうく)となす』といった非情な世界観があるのですが、あれはおそらく金です。

 八卦で天を意味する『乾』が金に当てはめられたのも、そういう理由かも知れません。だから、儒教が大切にしている仁の木を『金剋木』と容赦なく打ち砕いてしまう……」

 

 自分でも何を話しているのだろうと思いながらも、脈絡が見い出せない話を、思いつくままに話しました。

 

 その後、水は……、木は……、火は……、土は……、と順番に、二人でそれぞれの五行の世界観を、好き勝手に語らい合いました。

 

 水木先生は「土は人を育む五行だけど、山の土と平地の土では、少し性質が違うように思います」とおっしゃいます。

 

 そして、山の土である「戊」が日主の人の性格と、平地の土である「己」が日主の人の性格との違いを、山と平地の違いになぞらえて、とても分かりやすく説明しました。

 

 僕は即座に、日主が戊と己で思いつく数人の知人の顔を思い浮かべてみましたが、見事に水木先生がおっしゃった説明が、あてはまっていることに気づきました。

 

 水木先生の人を見る洞察力のすごさを感じました。

 

 四柱推命において、その人の性格や考え方を知るには、もちろん命式全体を見ていかなくてはなりません。

 それでも、その人の性質を構成している核の部分については、日主の情報だけでも、ある程度つかむことができます。

 

 スパークリングワインの後に飲んだ、赤ワインがかなり効いて、だんだん夢と現実の区別がつかないような状態になってきました。

 

 水木先生は唐突に「この世界というのは、3でできあがっていると思います」とおっしゃいました。

 

「例えば、漢方なら気・血・水(津液)だし、皮膚も三層構造で、表側から表皮、真皮層、皮下組織となっているし、いろんなものが3で成立しているんです」とおっしゃいます。

 

 僕は、全くその通りだと思いました。キリスト教では三位一体などと言いますけど、そういった宗教の教義だけでなく、やはり3という数字は、我々のこの三次元世界を構成している要素のように思えました。

 

 考えてみれば、三次元空間の座標もx・y・zの3つのベクトルで言い表します。

 

 ユングが提唱した人の意識も、意識・個人的無意識・集合的無意識の三層構造になっています。フロイトやアドラーの考え方には、この3つ目の集合的無意識の概念はないのですが、やっぱり僕はこの3つ目の集合的無意識という概念はとても重要だと思うんです。

 

 この世界は、目に見える世界と、目に見えない世界の陰陽2つに分けることができます。

 それは全く正しいのですけど、まだもう一つ足りない気がするんです。

 

 目に見えない世界の中には、その辺に溢れている思いや念のようなエネルギーもあれば、天とつながっている全く別方向のエネルギーがあると思うし、これを明確にすることで、真理が見えてくるように感じます。

 

 そうすると、やっぱり3になるんですよね。

 

 そんな全く意味の分からない話を、僕は水木先生にしていました。

 

 料理も食べ終わり、グラスのワインも飲み干した頃、お店の方が食後のコーヒーを出してくださいました。

 

 コーヒーを飲んだ後、四谷三丁目の駅で水木先生とお別れし、ニシーネスペースヘの道をほろ酔い気分でゆっくりと歩きました。

 

 夢と現実のはざまのようでありながら、とても内容の濃い時間を過ごしていた気がしました。