ハイドレインジァ

期末テストの始まる前のこの時期は、いつも水の…お目付け役や彼女の母親に釘を刺されていた。

しかし今年は…、見事短大に合格し、(それはそれは、並々ならぬ努力があったが。)晴れて女子大生となったうさこ。もう釘を刺される事もなくなった。

いつもはプレゼントに薔薇を添えていたが、今年は違う花を送ろうと俺は花屋の前で迷いながら探していた。

その花屋は、丁寧に花言葉も書かれていて、プレゼントにする参考になった。

ふと、色とりどりの紫陽花が目に留まった。季節の花だ。

しかし、紫陽花の花言葉は余り良くないイメージのものばかりだったはず。

「移り気」「冷淡」「冷酷」「無情」「高慢」

以前、読んだ本に確かそう書いてあるのを思い出した。

プレゼントには、向いていない。そう思いながら花言葉のプレートをみると、予想とは違い明るい言葉が並んでいた。

近くに店員が寄ってきて、今は良い言葉の意味で贈り物にされていると教えてくれた。

色によっても違うその言葉の中で、うさこに合う紫陽花を選びラッピングをしてもらった。

マンションに戻ると、鍵を開けると同時にうさこが飛び付いてきた。

｢お帰りなさい❗まもちゃん♥会いたかった❗｣

お互い忙しく余り会えていなかった。一週間ぶりの温もりは俺にとっても、心地よいものだった。

｢俺もだよ。元気だったか？｣

｢もちろん！それあたしの取り柄のひとつだもん🎵｣

笑顔でどや顔をするうさこ。

｢そうだな。そのうさこに、ピッタリのプレゼント！｣

｢うわぁ！！可愛い❤ピンクと白の紫陽花！…？あたしにピッタリって、可愛ってこと？｣

｢あ、もちろん、それもあるけど。｣

｢もう、まもちゃんたら！！｣

何気に照れながら、バシバシと背中を叩く。

｢っう！だから…、それそれ。｣

｢え？｣

｢ピンクの紫陽花、元気な女性って意味の花言葉。｣

｢へえ、そんな意味あるんだ。｣

｢な、ピッタリだろ？｣

｢へへっ。じゃあ白は？？｣

｢寛容、心が広くておおらかに包み込むってこと。｣

｢……///////まもちゃん。｣

俺は潤んだ瞳で感動する彼女を抱きしめた。

｢元気で、優しい愛情に溢れてる。うさこ。誕生日おめでとう。｣

～あとがき～

２０１７うさ誕

間に合わなかった(。´Д⊂)

花雨さんのイラストをみて、紫陽花が綺麗だったので何か書けないかと思って調べたんですが。ブランクありすぎてまとまりませんでした(-_-;)

けど花言葉っておもしろいですね！

とにかく！うさぎちゃん！おめでとう！！

クリスタル第四期劇場版前後編！期待してます。

影の記憶 13

四天王たちが去ったあと、衛はゴールデンキングダムの祭壇で、うさぎの夢に入ろうとしていた。

｢衛さん。大丈夫？」

｢大丈夫だよ、ルナ。君はここで、俺達の身体を見守って居てくれ。」

｢分かったわ。無理はしないでね。」

｢ああ。」

衛は空いている手をうさぎのコンパクトの上に重ね目をつぶった。
すると、二人は一瞬光に包まれた。

｢！？」

見ていたルナは、目映い光に目を覆うが一瞬で収まった。
そこには、うさぎの体にうつぶせる衛の姿があった。

｢頼んだわよ。衛さん。」

ルナは祈るしかなかった。













マラカイトは苛ついていた。敵には裏をかかれ、敬愛する主君は月の姫に入れ込んでいる。
同士のラブラドライトは、あの部屋に入り浸りほとんど出てこない。
昔はもっと、上手く立ち回れたはずだったのに。

｢今度こそ、あいつらにほえ面かかしてやる！」

すごい剣幕で廊下を歩いていると、声をかけられた。

｢じゃあ、俺も手伝ってやろうか？」

｢！？」

其処に居たのは、先ほど煮え湯を飲まされた相手、ネフライトだった。

｢貴様ー！ノコノコと。」

｢待て、熱くなるな。相変わらず単細胞だなお前。」

｢何ぃ～～。」

更に激情するマラカイト。

｢お前にいい話がある。」

｢なに？貴様、我々を欺き操られたふりをしていたんじゃないのか？」

｢別に。俺は自分の意思で行動してるからな。」

｢貴様、一体？何を考えている？」

｢ゴールデンキングダムの再建を。今のマスターより、革新的なキュクノス様に仕えた方が良いと星が言っているのでね。」

ネフライトは、不敵な笑みをみせる。

｢ぬけぬけと言ってのけるな！誰がお前を信用するか！」

｢まあ、そうだよな。じゃあ、これならどうだ？」

ネフライトが、促すと後ろから巫女の姿をしたレイが立っていた。

｢火星の…！！！」

マラカイトの声に反応することもなく、彼女はうつろな感じで只佇んでいた。

｢そうだ、確かお前らに不利な人物だったな。今は俺の意識下にある、これでどうだ？」

｢…、とにかく。キュクノス様にお知らせせねば。まだ、疑わしいが…。着いてこい、ネフライト。」

｢ああ。｣

そして三人は、その場をあとにした。


｢…レイ…。無茶するなよぉ。｣

｢あんた、落ち着きなさいよね。」

その光景をハラハラしながら見る金色の短髪の青年と、彼の様子に呆れながら赤いリボンの女の子が物影で見守っていた。







｢…！？」

ラブラドライトは不穏な気配を感じた。

｢侵入者か…。」

閉めきられたカーテンにむかい衝撃波を放つ。しかし何の手応えもない。しかし別の方向から、声をかける人物がいた。

｢あらあら、物騒な人ね。私は取引をしたくてきたのに。」

妖艶な笑みを浮かべ、長髪の金髪をなびかせた青年が立っていた。

｢ゾイサイト…。相変わらず美しいな。」

｢あら、嬉しい⤴昔から貴方は私を誉めてくれたわね。」

満更でもない様子で、ゾイサイトは彼に近づいた。

｢…貴様の後ろにいるのは保護の戦士か。」

言われた方向に、まことが姿を表す。

｢あら、話が早いわね。そうよ。手土産に連れてきたの。」

｢裏切るのか、エンディミオンを。」

怪訝な顔をしてラブラドライトはゾイサイトに問いかけた。

｢そう、マスターは甘いから…。キュクノス様ならゴールデン…。」

～ズバーン！！～

｢ッグウッッ！！！」

｢貴様！！…うわっ！」

言い終わらないうちに、ラブラドライトは二人に衝撃波と、光の拘束具を放った。まことは後ろに飛ばされ壁に激突した。

｢フッ、マラカイトじゃあるまいに。貴様等の猿芝居に騙されん。ゾイサイト、お前は策に溺れる、変わらんな。」

｢んんっ！！っ、くそっ！あんた！大丈夫？！」

｢…、なんとかっ！」

まことは、拘束を引き千切ろうともがく。

｢そう、何かあったらアイツに吊し上げられるわ、私。それにしても、お前、いつから怪しげな力つかえるのよ。」

その問には答えず、ラブラドライトは手をかざし、二人を引き寄せた。

｢…。貴様等、キュクノス様の御前にて血祭りにしてやろう。」

そう言うと、扉の奥に二人を連れて入っていった。



｢さあ、始めるか。軍師殿。」

｢ええ、情報はいくらあっても足りないもの。」

出ていった部屋の天井から、長身の青年と短髪の美少女が降り立った。二人は連れて行かれた仲間を案じ、また自分達の役割をわきまえていた。











～あとがき～



あああ、何ヶ月ぶりの更新でしょう(-_-;)
待ってくださる方いらしてますか？

これから、敵方へ潜入していきます。
ペアはあえて代えてみました。

まだまだ続きます。次はもっと早く更新しますので。

その先へ…。

｢おめでとう！」

｢おめでとうございます！」

今日はパレス内で一番賑わしい日。
一国の主とその娘の誕生日である。国として祝日にはしてあるが、式典や催事は行われない。ただ、身内でささやかに祝うのが彼女が即位してからの慣わしだった。それは娘が生まれてからも同様であったが。

｢ありがとう！皆♪」

｢何だかいつもと違って賑やかだよ？」

祝われる内の一人が、通例の雰囲気と違うことを悟ったようた。

｢もちろん！スモールレディ。貴女が過去の修行から戻られ、初めての誕生日よ！」

｢全てを知った貴女に盛大な祝福をしなきゃ！」

｢料理だってはりきったんだぜ！」

｢皆。この日を待ち望んでいたのよ！」

内部四戦士はにこやかに賛辞を述べる。

｢そうよ、スモールレディ。私も嬉しいの。こんなに立派になってくれて。」

｢ママ…。」

｢そうだ。それに君に会いたいという人も来てるんだよ。」

キングがそういうと、奥の扉が開き見覚えのある四人が入ってきた。今までパレスでは会ったことの無い彼女等の姿を見て、スモールレディは驚き涙ぐむ。

｢スモールレディ、お久しぶりね。立派になられて。」

｢もう、ちび団子なんて呼べないな。」

｢小さなプリンセス。やっと貴女に会える日が来たわ！」

大人びた三人は華麗な所作で近づき挨拶をしてくれた。そして最後の一人は以前と変わらず優しく儚げな笑顔で話しかけてくれた。

｢スモールレディ…、ちびうさちゃん。会いたかった。」

その声を聞き、スモールレディは彼女に飛び付いた。

｢私も、私も会いたかったよ！ほたるちゃん。」

過去では、ネヘレニアの呪いの時以来会えることがなく、未来の世界では存在さえ知らなかった彼女にまさか会えるとは思っていなかったのだ。

｢ごめんね、私はずっと見守っていたの。貴女に会うことは禁じられていたから。」

｢其々の星で君の成長を楽しみにしてたんだよ。」

｢ちょっとプルートに嫉妬してたのよ、私達。」

サターン、ウラヌス、ネプチューンの三人は時空の妨げに成らないよう、守り人のプルートにきつく言われていたのだ。

｢ごめんなさい、スモールレディ。これが私の役目だから。」

｢ううん、プーは悪くないわ！仕方ないことだもの。それよりは今会えたことがホントに嬉しいの！サイコーの誕生日よ！」

娘のそんなこ言葉を聞き、相手の気持ちの分かる立派な女性に成長したと両親は微笑んだ。

｢スモールレディ、もう一人貴女に会わせたい人が居るのよ！」

クイーンに言われもう一つの扉をみた。するとそこには懐かしい風貌の少年が立っていた。その顔は少し緊張したいるようだ。

｢…⁉」

その姿をみたスモールレディは、彼に駆け寄り抱きついた！

｢エリオス！」

｢僕の小さな乙女…、会えてうれしいよ。」

勢いよく抱きつかれたが、彼はしっかりスモールレディを支え気持ちを伝えた。

｢あたしも！エリオス！会えるなんて夢みたい」

二人は再会を心から喜んでいるようだ。
しかしその光景を見て一人だけ、無愛想な視線を向けている人間がいた。その横で妻が笑いをこらえ、彼をからかう。

｢貴方、自分でお膳立てしてその表情は無いんじゃない？」

｢うるさいなー、元からこんな顔だ俺は。」

突っ込まれて恥ずかしいのか、キングはいつもは使わない一人称で答えた。

｢さあ、皆も揃ったことだし、パーティー始めましょう♪」

｢ええ！」

其々にグラスをもち、乾杯をした！

｢ハッピーバースデー！クイーン！スモールレディ！」

｢ありがとう皆！」

｢ホントにありがとう！忘れられない誕生日だよー！」

クイーンにとって、スモールレディが喜んでくれたことが、自分へのプレゼントだった。彼女には辛い思いをさせてしまったから。
そして、皆が集まれた事を本当に嬉しく何時までもこうありたいと願った。








～あとがき～

うさ誕２０１６、２作目

アニメ未来編。すべてが終わった後の誕生日で考えました！

やっぱり、未来でもきちんと皆に揃ってほしくて。

で、娘の彼氏に嫉妬する衛さんも見たくて。

こんな感じになりました。


ちびうさちゃん。ハッピーバースデー！

約束の未来へ

｢うさぎー！次これ運んで。」

｢はーい。」

母親に言われ、忙しく動き回る彼女。時折俺の方を見てはにっこりと笑う。

｢ばかうさぎ！これも頼むぜ！」

｢うっさいわね！！それに、おねー様と呼びなさいよー。」

悪態をつく弟を睨み付け、あっかんべーをだしてる彼女の姿は、いつかの未来の娘とのやり取りを思い出させた。

｢おい、うさぎ！衛くんの飲み物なくなってるぞ！」

｢もうパパったら、目の前にビンを置いたじゃない！あたしがお酌するって言ったら、自分でするって言ったの、覚えてないの？」

既にほろ酔い加減の父親は、上機嫌で娘に声をかけた。返事をする彼女は少し不機嫌に受け答えしていた。

｢もう、今日の主役は私達なのに、皆酷すぎよー。ね、まもちゃん。」

一段落した彼女は、当たり前のように俺の隣に座った。
俺は幾らか緊張していて、笑顔を作るのがやっとだった。

｢さあ、用意できたわよ。」

食事の終わった食卓を素早く片付け、母親が手作りのケーキを、彼女が皿を並べてくれる。

｢衛くん、コップ出しなさい、ほれほれ。」

｢あぁ～、お父さん。僕が注ぎます。」

シャンパンのビンを差し出され、俺は慌ててコップを出した。すぐにビンも受け取り返杯をする。

｢衛さんって、お酒強いんだね。パパなんかよりしゃんとしてるや。」

けらけらと、笑いながら彼がケーキを取り分けてくれた。

｢慎吾！パパは、嬉しいんだ。こんないい彼がうさぎの、うさぎのー。」

間極まった様子で涙ぐむ父親をみて、母親が近寄り声をかけた。

｢もうパパったら、今日はうさぎの二十歳の誕生日よ。それに、衛くんが来てくれた、めでたい日なんだから。泣かないの！」

｢うおーーー！」

その言葉に、一層涙が止まらない。

｢あーあ、ごめんね、まもちゃん。パパお酒も入ってるから。」

｢いや、大丈夫だよ。」

父親の心境の複雑さは、俺も何となく分かる気がした。
それに家族の絆をなんたか感じ胸の奥が熱くなる。

｢家族っていいもんだな…。」　

意識をせずに出た言葉が、彼女の耳に届いたようで机の下で手を握ってきた。

｢もう、まもちゃんも家族だよ？」

その言葉に温もりと恥ずかしさを感じて、俺は顔が赤くなるのがわかった。

｢もー。早くケーキ食べようぜ！！」

両親と姉カップルの雰囲気に呆れ顔の弟君は、しびれを切らしたように叫んだ。

｢そうね、じゃあ、今火を付けるから。」

｢慎吾、電気を消しなさい！」

｢ほーい。」

蝋燭に火が灯り、ケーキの文字が浮かび上がる。

☆バースデーうさぎ♪㊗婚約おめでとう☆

｢皆、ありがとう♪」

そういうと勢いよく火を吹き消した。

｢衛くん、うさぎをよろしくね！」

｢バカ姉貴を頼むな、衛にいちゃん！」

｢……。ううっ。」

三人三様に彼女の事を俺に託してくれている。

｢こちらこそ、よろしくお願いします。必ず幸せにします。」

ありきたりな言葉しか返せないが、これが本心だ。俺は深々と頭をさげた。

｢まもちゃん！！ありがとう！」

彼女も俺の大好きな笑顔で答えてくれた。



｢うおーーー！今日は、とことん飲むぞー！！な、衛くん！！」

｢はい！おとうさん。」

｢もう、パパー、ほどほどにね。」

｢俺これもらおー！」

｢あ、それは私のよー！返しなさいよー！」

彼女の家族に受け入れられた嬉しさと気恥ずかしさで、父親に勧められるまま飲んだ俺はその後の事は余り覚えていない。
次の日、彼女に照れながら呆れられるのは別の話。




～あとがき～

うさ誕、二十歳の婚約バージョン。

イメージは、うさぎ、短大二年。衛、社会人一年目。
卒業後に結婚する予定で、誕生日に両親に挨拶に行ったていです。

挨拶部分はスッ飛ばしてます。
衛さんに家族は居ないから、結納とか正式にせず、こじんまりと家族で祝う感じです。

酔っぱらった衛さんはうさぎちゃんをどれだけ好きか語ったんだとおもいますよー。
あまり、落ちがなくすみません。

ハッピーバースデーうさぎちゃん！

影の記憶 12

「…エンディミオン…。厄介な力。」

キュクノスは、吐き捨てるように水鏡に文句を言った。

「キュクノス様！月の姫が…。」

マラカイト に言われ振り向くと、先程まで隣で立っていた『うさぎ』が倒れていた。

「ちっ！力を使い過ぎた様だね。おい、例の部屋で休ませろ。もっと負の感情を増幅させておけ。」

「御意。」

呼ばれたラブラドライトは、軽々と『うさぎ』を抱え、水鏡の間から出ていった。

「 マラカイト、お前は彼奴等の動向を探れ。新月まで、彼女に近づけないようにね。」

「はっ！」

恭しく頭を下げ、マラカイトは出ていった。
　
「エンディミオン…、どうして君ばかりに力が…。くそっ！」

キュクノスの表情は嫉妬に満ちていた。
戸口でその様子を冷ややかな目で見つめるラブラドライトであった。








衛と守護戦士、四天王たちはある場所に移動していた。
そこは、守護戦士にとっては馴染みがなく、四天王には何処か懐かしい場所であった。
一同は衛の案内でその場所に訪れた。移動は一瞬で、衛のゴールデンクリスタルにより導かれたのだ。うさぎは衛がしっかりと抱き抱えていた。

「ここなら、奴らの力は及ばない筈だ。」

門をくぐり抜け、開けた場所に祭壇があった。衛はうさぎをゆっくりその場所に下ろした。

「衛さん、此処は？」

「私は一度だけ来たことあるわ。」

「もしかして？」

「この部屋…、祈りの間なの？」

守護戦士は其々に思ったことを口にする。その質問に答えたのは衛ではなく、四天王達だ。

「此処はゴールデンキングダムよ。亜美。」

「君を此処へ通したのは僕だったね。レイ。」

「そう、地球国の神殿だ。まこと。」

「ああ。儀礼的な式典が行われる場所だ。美奈子。」

四天王達は自身等もこの状況に驚いていたものの、脳裏に前世の記憶が鮮やかにうかび、其々のパートナーに説明をした。

「衛、いつの間にこんな所に来れるようになったんだ？」

「ここに、連れてきた訳があるのよね？衛さん？」

アルテミスとルナが皆の疑問を言葉にした。

「ああ、ゴールデンクリスタルの力を宿してからだよ。ここで発揮出来る力を使うつもりなんだ。」

衛は、ゴールデンキングダムの本来の役割について、語り出した。
地球国の王族、直系のみに引き継がれてきた能力。
それは夢見、夢渡りの力。他人の夢をみたり、夢を繋げ渡ることが出来たのだ。
前世のあの時点では、王族としてその力は衰えてきていた。その補助的な役割を担っていたのが、魔導師ベリルと神殿の守護者エリオスだったのだ。夢を司ることで災いを未然に防いでいたのだが、あの時は神殿は閉じられベリルを操られてしまい、終焉に追い込まれて仕舞ったのだが。

「俺がゴールデンクリスタルの力を宿しお陰で、その力を、少しだけど使えるようになったんだ。」

「で、どうするんですか？」

亜美は衛を見据え何を考えてるのか尋ねた。

「うさこの潜在意識の中に、答が見つかると思うんだ。だからうさこの夢の中に行こうと思う。」

「危険じゃないの？」

レイは、流石に心配をする。

「まあ、五分五分だけど。影にうさこの能力が移るならその逆も有りだろ？」

「確かに…。けど！どうしてうさぎちゃんの力が移るのか疑問だけど。」

まことは、影のうさぎがロッドまで使えたことに納得がいかないようだ。

「先方に何らかの力があるのは間違いないな。」

「分かったわ、じゃあ私達のすることはその力の根元を突き止め破壊するのが役目よね！」

美奈子は、じっとしていられないと腕捲りをしながら応えた。

「もちろん、あたしたちも一緒よ！」

「奴らの事は、君達よりも知ってるからね。」

「俺らも、仕返しをしないと気がすまないしな。」

「ただ、無計画に事を運べば仕損じるぞ。」

四天王も其々のパートナーに寄り添い、意思をあらわした。

「すまない、皆。」

衛自身、自分がしっかりしていればと悔やむばかりだが、心強い仲間の存在が弱くなる心を支えてくれる。

「そうと決まれば、情報収集はまかせろ。」

「そうね。二人の事は私に任せて、皆そっちは頼むわよ。」

白と黒の猫達は自分のやるべき事をわきまえている。

「じゃあ、反撃開始よ、皆！大切なプリンセスを取り戻すわよー！」

美奈子の号令で、其々の表情が引き締まる。

しかし彼等はこの後、予想を遥かに上回る敵に潜む巨大な存在に翻弄されることになるのだが…。






～あとがき～


影の記憶、続きでございます。
捏造の地球国の能力をだしてしまった。

だって、エリオスは夢の中にいたし。キングはまもちゃんに、夢で試練与えてたから～！


さてさて、まだまだ、先は長いです、多分。クリスタル三期までに終われないなー。けど、頑張りますのでお見捨てなく(泣)