またまた眠れないので 記憶の清算を


バンドも何もかも上手くいかなくて、ついには借金まで作ってしまって実家に逃げ帰った時


夕暮れ 母と犬の散歩中


バンドはもうやらない

やっても趣味でやっていく

っていう話をして


「来世に期待やな」

と、ふと僕は母にこぼした


「なんでそんなこと言うん」と母



その日、僕にとっての音楽は趣味になった



母を心配させたくない

ちゃんと仕事に打ち込んで真人間になろう

そんな想いから、僕はバンドを辞めると言った


だけど、まだまだ未練たらたらだった


そんな感情が皮肉混じりなそんな言葉を僕に言わせたのだろう


「来世に期待やな」


僕は多分、自分が音楽を辞めるのを誰かのせいにしたかったんだと思う


その時は親のせいにした

無理にバンドを続けようとして、ボロボロになった僕を見て、帰って来いと言ってくれたのは確か父親


母はそんなことは言ってなかったけど、心配してるのは顔に出ていた


結局自分が選んだことなのに、

田舎の実家に帰れば禄にバンド活動が出来なくなることは目に視えていた


それは、つまりメジャーデビューや全国流通、ワンマンライブとか目標としてた事から、物凄く離れる事と同じだった


今生の夢はここで潰えたと、そう思った


自分のこれからの、エンドロールのような人生を暮れていく陽を見ながら悟ったかのように、

冗談めかしながらも言った


「来世に期待やな」


その言葉が、どれだけ母を傷つけていたかは想像に固くない

その想像力が足りていなかった訳でもない



ただ、ただ、自分の弱さが許せなかった

夢を簡単に諦めてしまう自分が情けなかった

あわよくば来世なんかに期待して、今この人生を途中棄権しようとしている自分が腹立たしかった

こんな事を言う自分が嫌で嫌で、自分以外の誰かに生まれ変わりたかった




そして、今


僕はまだ現世で生きて音楽を続けている




来世なんてねーよ

冗談でもそんな事、母親の前で言うなよ



例え現世にもう希望なんかなくたって

ないまま生きろよ

生きることそれ自体が希望だろ



そんな風に思えたらいいなと思いながら、また曲を作っていた



だけど、なかなか上手いこと作れない


アレもボツ これもボツ


って、やってるうちに


このボツ曲って僕の人生みたいだなって思った



上手く行かなかった人生

テレビでドキュメンタリー番組が組まれる事もない、一つの成功も大きな失敗もない人生


完成しなかった音楽

バンドメンバーに聞かせることもななった、鼻歌や歌詞のメモ メンバーに聞かせても反応が悪かったボツ曲

パクリだと気付いたボツ曲 題名が決まらなかったボツ曲


誰にも知られない人生 誰にも聞かれない音楽


だけど、それは確かにそこに生まれて、存在していたんだ


来世なんてない あと何曲作れるか分からない


それなら、出来映えがいいとか悪いとか、音がいいとか悪いとか、バンドか弾き語りか、完成か未完成か、関係なしに、なりふり構わず僕はここに置いておくよ


ゴミ箱はもういっぱいだから

自分だけは捨てないようにしたいから