今回、”大所帯”の鹿児島選手権を観て、10数年前、閑散として、他県の選手権と一緒にしないと、とまで囁かれていたこと、まさに隔世の感です。

全ては、門戸を広く、敷居を低くしたことに尽きます。

昔は、連盟指定ジム所属しかダメ。

他連盟選手は、脱会し、かつ数年!経過しないと、かつ、連盟所属ジムに入会し、とある意味とてつもなく高い壁がありました。

それが、今は個人加盟許可。

そのきっかけは、男子フィジークの開催でしょう。

そう、お尻はもちろん脚を見せなくても良い。

そして、基本ポーズが不要。

あの何気なくしている比較審査のポーズ、大変なんです。

どんな凄い体格をしている人も、腕を胸郭から離して、かつ挙げる、それだけで、寸胴、胸や背中の筋肉の”足りなさ”が露呈します。

正面で腕を挙げる、これよく格闘技の選手がカメラの前でやります。

筋トレコンテスト経験者なら、皆、わかります。

あんなに顔つき怖いのに、試合で凄い強いのに、あのポーズ、何か変。

そう、肘の肩との位置、高さ、胸や背中の意識、二頭、3頭筋の意識、もちろん手指まで、全て”とある”角度と位置関係を理解して静止してないと、立体的に見えないのです。

筋肉の収縮度合い、関節の位置感を脳内に練習して叩き込む必要があるのです。

この練習は結構大変です。時間もかかる。

なので、筋トレ以外にこのポーズの練習が大変だった、のに、しなくて良くなった、で、参入者も増えたのです。

そこから脚も見せたい、あるいはポーズの”奥深さ”を理解した選手たちが、フィジカーから転向してきた、良いことです。

裾野が広がれば山に登りたい、そう思う人が増えるのは当然。

で、今回の鹿児島でも、フィジカーから転向しボデイビル宮崎大会を制して鹿児島もダブルで、と岩井くんが参上。

この顔よりも小さなウエストから、薄いんだけど、それを帳消しにしてしまう広背筋が付いて、骨盤よりも太い大腿部が下に広がって、もう”ありえへん”羨ましいシルエットを持っています。

しかも、25歳。あと数年でどんだけこの曲線が膨れるんだ、と頼もしくなります。

ただ、わかっているのか、わかっていないのか、胸郭の広さを殺してしまう、ポージングが惜しい。

このフロントラットでも、腹筋を意識し過ぎて薄い胸まで強調していまう。

一人の時はいいかもしれませんが、もこもこしている相手が左右にいるときは、もっと胸を張るべき。

このサイドにしてもそう。

パーツ一個一個は美しいのに、胸薄いんだよ、と強調してしまう。

せっかく持っている下腿やハムの密度も消えて勿体無いポーズです。

こんな時は、カーフからハムを決めて、それからもっと肩を結ぶ線と骨盤の線を胸を張ったまま傾け捻るべきなのです。

そうすると美しいシルエットがもっと立体的に見えるはず。

ま、そんなことしなくても、このまま大きくなれば鹿児島”くらい”来年か再来年獲っちゃうのでしょうが。

ただ、ポージングセンスって若いうちこそ”磨ける”のです。

錯覚の妙、この言葉、伝わるかな?