僕の胸椎は成長の過程で”一塊化”してしまっている。

胸椎は後彎。しかし胸椎一個一個の間には柔らかいクッションであり接着剤である椎間板があり、頸椎、胸椎ほどではないが、”前後、左右、そして回転もする。

ただ肋骨があり、その肋骨を”受けている”肋骨突起が発達しているのと肋間筋が間にあるため肋骨同士が接するほどは動かない仕組みになっている。

こうするには訳がある。

全身(脳はもちろん心臓そのものにも)に確実に血液を送り届ける心臓と酸素を取り込む主役である肺を守るため。

だから椎間板は必要最低限の厚さしかない。

仙骨もそうだが、動かない場所、周りから力がいつも加えられる場所は骨同士が合体して動きを捨てる。

運動しない”環境”にあると簡単にくっついてしまう。

いったんくっつくとその部分は柔軟性を失う。

失ったものは2度と戻らない。

カーブに接する頸椎と腰椎の分岐点に負担がかかる。

この部位に致命的なヘルニアや圧迫骨折を起こす危険が高まる。

僕がバックブリーカーされたらおそらく”死ぬ”。

チニングがうまい選手は鉄棒に対してバネのように体幹が近づいていく。

見ているとリズミカルに上半身、特に中背部が円弧運動で近づき、下背部(腰椎)、骨盤、下半身は一種の重りと化す。

これは胸椎が鉄の棒ではなく、柔軟性のあるゴム状も円柱であるから可能な技。

普通胸椎は12個もあるので細かく微調整ができる。

不器用な僕などは、鉄棒に頭や顔が当たる。

だから鉄棒にまたがって前転しようとしても”丸く”なれないので回転運動ができない。

チニングがしたい!

鉄棒に”登ってみたい”。

腕力がついて来てやっと登れたが、腕で上がるだけでは背中はモコモコしてこない。

鉄棒やハンドルの間に隙間があるとありがたい。

鉄棒、ハンドルを越えてから上半身を引きつける、中背部から下背部の筋群を使えるのである。

アシストグリップチニングや、ハンマーのレバレッジ(写真)ではそれを利用して広背筋をギュッと刺激することができる。

脚のマシンと同じである。

アシスト(お助け)チニング(懸垂)は、不器用さを補ってくれる。

レバレッジはスコンと抜けてしまう動作最後の収縮感(スクイーズ)を体に覚えさせてくれる。

しかし、、生まれ変わったら、胸椎を”柔らかく”して前転やバック転したいなあ、、。

僕は小学生時代、”普通の”前転ができなかった。

体育の授業で、マットが敷かれていて、そこでゴロン、そして起き上がり前に進む。

この”当たり前”の”行為”が、僕がするとまっすぐ転がれず 斜めに、背中が付いたまま起きあがれない。

僕はクラスでアイウエオ順でいつも一番初めのことが多かったので、”渋滞”してしまう、、、。

これは惨めだった。

勢いつけてやると頭部を強打するか、首を捻ってそのまま保健室、、。

跳び箱も恐怖に慄いた。

飛べた記憶はない、、。

もちろん鉄棒も。

逆上がりは大学生になるまでできなかった。

今でも鉄棒に跨って前転できない、、、。

医学部に入って初めて理解できた。

胸椎が若いのに癒合してしまっている。バネがないのである、身体そのものに。

おそらく、幼少時からずっと自宅で同じ姿勢でプラモデルを作ったり、昆虫の標本作成をしたり、ピアノを”弾かされたり”。

普通の子供たちのように運動場を飛び回り、公園やグランドで雲梯で遊ぶことが全くなかったためだろう。

一番運動神経が発達するこの時期に、ずっと”閉じこもり”。

3つの脊椎湾曲を形成すべき時期に”サボった”。

家の裏に結構高い山があり、昆虫採集のたびに週末や休日は登りまくっていたので、脚だけ太くなった、、。

あぐらでなく”お姉さま”座りをしていたせいか、股関節の外旋位が不完全で歩くと内また、、。

細かい昆虫探しや広大な景色を楽しんでいたので視力は悪くならなかった。

使わない筋肉は発達しないし、柔軟性の必要のない背骨は癒合してしまう典型例である。

だから僕のスクワットは胸椎部が上手く柔軟性がないので、股関節を主役にしゃがめない。

外旋位を維持できないので内転筋群を意識できない。

悩み悩んでいた30年以上前スミスマシンに池袋リボン館で触らせてもらった時、感動のため涙が出た。

これだと、背骨に柔軟性のない運動神経の鈍い僕でも、股関節を主役に大腿に効かせることができた。

ワンレッグ、今で言うとブルガリアンに似たスクワットもしやすい。

効かせることさえわかれば、面白いようにセパレーションが出てくる。

僕は転勤のたびにスミスマシンを分解して宝物のように下宿に設置してしゃがみ込んでいた。

そのうちフリーウエイトでのスクワットもマッスルコントロールできるようになって来た。

所詮、スミスマシンも不完全、無理がある。

マシンに頼りすぎては行けないが、僕のような運動音痴なバカにはマシンは使いようなのである。

僕の筋肉は発達障害なのだから(僕自身も、か、、、な、、)。

 

ゆっくりと進化の過程で”得た”3つの脊椎湾曲。

苦労して得たものなのだが、永遠に持つことはできない。

湾曲は事故で、病で、そして歳とともに失われていく。

でもこの骨でできた湾曲、ここには筋肉が付く。

筋肉は、神経が支配している。

意識できない、マッスルコンロール下に置けない筋肉もあるけれど、美しく立つ(立ちたい)、美しくしゃがむ(者がみたい)、華麗に横たわることはできる。

意識する。

筋トレはそんな湾曲矯正、維持にはもってこいである。

サボっている、適当にしか動いていない筋肉に脳から指令を与える。

3つのカーブを強調できる選手は、まっすぐ立っているだけでも立体感がある。

腰椎の前彎がしっかり保たれていれば、あるいはここを強調すれば骨盤は前に回旋してそれに伴い臀部はせり上がってくる。

腰高、ヒップアップとなる。

腰椎の前彎をしっかりつけて維持するためには、起立筋群が緊張する。

背中正中にしっかり深い溝が付く。

胸椎部にも椎間板があるし頸椎腰椎ほどではないが可動性が十分あり後彎をうまくコントロールすることで、ラットスプレッドからバックダブルバイでの中背部の筋群のマッスルコントロールが上手くなる。

立位や座位でのサイドバックは、この3つのカーブにさらにねじれを加える。

肩関節を結ぶラインと骨盤のラインをどう交差させることができるかで、そのセンスを評価できる。

3つのカーブを基本にダイナミックな美しいポーズを見せてくれる選手に会うと嬉しくなる。

ぴょんぴょん飛び跳ねるだけで誤魔化してしまうのは”フェイクポーズ”なのである。

ちなみに学会でお見せした僕のバックショット、、お尻が垂れています、、、。

腰を鍛える。

起立筋群を鍛えよう。

バックイクステンションがいいぞ、

そうすれば腰を鍛えながら守ることができる、と”言われる”。

腰の骨は後ろに”ある”厚い起立筋群が骨盤から頭蓋底まで身体を支える。

背骨を立たせておく主役であることは確かだ。

盛り上がるくらい鍛え上げた起立筋群は、バックポーズでも正中に深い溝を造り立体感を際立たせる。

前にあるのは?

腹筋ではない。

腸腰筋である。

この筋肉は、はっきり言ってマッスルコントロールできない。

動きを意識できた選手が居たらぜひインタビューしてみたい。

成長期、特にしっかり走り込みをした選手は、丸太のように太く美しく発達している。

そしてこの筋肉がしっかりしている人は腰椎前彎がしっかり保たれている。

巨大な背筋に対するスタビライザーである。

そして、おばあちゃんや、腰を痛めた中年以降、あっという間に縮んでいく。そして左右の委縮にアンバランスが生じてますます身体は歪み曲がっていく。

僕は、トレーニングやポージングでは触れない、意識できないこの筋肉を、仕事柄”特権”で毎週触れる。

この筋肉を”メルクマール”にして周りにある大切な内臓や血管などをよけていく。

写真モニター画面で見える斜めの太い筋肉がそれ。

発達していない患者さんではすぐに腰の骨が触ってしまう。

この腸腰筋、意識できないからこそ、鍛えがいがある。

この筋肉は、大腿四頭筋と交差する。

特に直筋とコラボして大腿部を体幹に近づけてくれる。

太ももをしっかり上げる(脚上げくん)、それ専用のマシン、なければしっかり膝を高く上げ体幹に近づける走り込みで発達する。

ちなみに、牛さんやぶたさんではこれをヒレ肉という。

じっと狭い場所で飼われていずに野山を駆け回る彼らは下腿をしっかり胴体に引きつけるこの筋肉が発達しており”美味しい”。

腰椎の椎間板ヘルニアの手術で”寝たきり”になる時代は終わった。

もちろん寝たきりになる時代はあった、、、。

簡単に安全にヘルニア摘出などできない混迷の時代があった。

日本は世界一のMRI,CT普及国である。

そして世界に誇る光学機器メーカーがある。

外科医が術前に、術中に病変を”良く”目で”見極める”ことができる。

そして微細な手技に”比較的”器用である(ちなみに僕は並)。

手術は、いかに病変を”ドライに”展開できるかに尽きる。

ヘルニア(髄核)そのものは血液が”通っていない”。

ヘルニアを包む膜(線維輪)、神経を包む膜(神経根、硬膜)、神経根を守る組織(硬膜外脂肪組織)には普通でも血液や体液が流れている。

そこからヘルニアを吸収しようと周りから血管が増殖して飛び出したヘルニアを食べる、仲間を集める(炎症、貪食)。

その場所は一種の戦場である。

味方(正常組織)、敵(ヘルニア、異常瘢痕など)を見極め、安全にどう処理できるか。

顕微鏡や内視鏡で、しっかり見て処理する。

破壊して良いもの、残すべきもの、もし傷つけてしまったらどうするか、決まりがある。

その手順が決まっているので、寝たきりになるようなことは飛行機が落ちるくらいの確率となる。

ただ、破壊行為には違いない。

どれだけ創部が小さくても、ヘルニアを処理した場所は正常より弱く脆い。

周りの組織にも負担がかかる。

椎間板組織を根こそぎとることはできないので、再発もあり得る。

いつからトレーニングして良いか、なんてことは誰にもわからない。

翌日から歩かせて、日常生活を送ってみて、痛みのない範囲で”いろんな”ことをしてみて(少しだけエッチも可能)、ジムに行きたくなったら行かせる。

痛くない範囲でトレーニングしてもらう(激しい”子作りも”)。

起き上がるだけで再発することもあるし、ベッドで”頑張り過ぎて”、”繋がって”そのまま動けなくなって運ばれてくることもある。

ジムで再発した話は不思議に聴かない。

身体は新品ではない、永遠に若くはない、大切なのはメンテである。