僕はボデイビル選手時代、キャリアのほとんどをホームジムで過ごしました。
まだ本格的なトレーニングジムがほとんどない時代です。
あっても、失礼な言い方ですが、”ちゃんとした”マシンがなかった。
ダンベル、バーベルといったフリーウエイトをターゲットとする、目的の筋肉を”主導”筋にできるって、結構難しいのです。
ベテランビルダーと言われる人でも、たくさんいました。
それができない人が(わかろうとしない人が)。
一番多かったのは、上半身すごいけど、脚が、、、。
これは今でも”めっちゃ”いますが、フィジーク部門で活躍できます。
上半身の欠点で最も多かったのは、三角筋後部。
正面から見るとそれほど分かりませんが、ほんの少し斜めから見ると、首から腕にメリハリがなくなる、曲線がないのです。
特に胸や腕が凄くても、サイドになると厚みが不自然に見えます。
ボデイビルでの体の評価は、いかに体にたくさんの曲線を筋肉で作り出すか、です。
これに追い打ちをかけるように多かったのが、背中という筋肉の集団を理解できない人たち。
何せ、厚みはローイング、広がりはプルダウン、などと堂々と一流と言われる人たちが解説していた時代です。
彼らのポージングは、肩を左右から寄せて、三角筋を収縮するだけ。
連動して少しだけ、上背部にセパレーションがちょっぴり。
もちろん、臀部からハムは無視。
肩甲骨を寄せてまたそれから広げるのか、寄せなくて、保持して広背筋に主に収縮を加えて、逆三角形を作り出すのか、そこに起立筋群をどう加えるのか。
あんなにたくさんある背中のマッスルコントロールをできていない選手が多かったのです。
ガンガン、デッドリフトする、ベントローするのは大切。
ダンベルぶら下げて必死で懸垂するものすごい、しかし、じゃあ、どこに主導を?
答えは、この辺かな、が現実でした。
ラットプルなら、どう座るか、どこから引くか、引きつけた時とプーリー(滑車)の角度は?
サイドラテラルなら、どう体幹から腕を離すか、軸と肩との位置関係。
これを学ばせてくれるのが、よく考えられたマシンなのです。
人には必ず欠点がある、見たいけど、見逃してしまうことがある。
それはトレーニングとても同じで、それを教えてくれる、そんなマシンを僕は探し続けました。
良いマシンとは、よく考えられたマシンとは、パチモノではないマシンとは、マシンに座ると、パッドの形が、硬さが、角度が、教えてくれるのです、ごちゃごちゃ言わなくても、聞かなくても。
多少斜めに座っても、利用しても、ぐらつかないのです。
真似事でコピーしたマシンはそうではない。
マシンに二番煎じは合わないのです。
僕があの世に行った後、そんなメッセージを伝えてくれるマシンを大切にしています。