ベンチプレスという”もの”を知ったのは、22歳の時、大学の体育館でした。

弱くて寝技ではすぐに”落ちまくって”いたのでせめて力でもと柔道の補助で行っていました。

回数をこなす腕立て伏せよりも、確実に胸郭全体に”かかる”刺激が違い過ぎる、そんな快感でした。

卒業してしばらくしてボデイビルを始めました。

そのジムのオーナーがベンチプレッサーでしたので、物凄いウエイトを扱っておられました。

ジムの皆さん、手首を痛めている人が多く、ぐるぐる何かを巻いてやっていました。

身体が硬いのと、手術に影響するのが怖くて、結局ウエイトに挑戦するのは逃げていました。

それでも、120−130キロは扱えるようになりました。

この重量が僕にとって最も大胸筋に意識しやすい重さでした。

ダンベルが片方50数キロは持ててプレスしていましたので、もっと重いベンチはできたと思いますが、やはり怪我が怖くて避けていました。何せ、悲惨なニュースでは毎年誰か、ベンチで死んでいましたし、悲惨でなくても間近で大胸筋断裂はベンチで起こっていました。

何が起こっているのか、僕は”選手として”ではなく、観察者として色々考えるようになりました。

ベンチプレスとの出会いから40数年が経過して、やはりこのベンチプレスこそが、大胸筋種目の王道と思っています。

脳震盪以来、頚部の位置でめまいが起きますので、ずっとフリーウエイトやヘビーなトレーニングは避けていましたが、久しぶりに週末休みが取れて、ジムでゆっくり過ごせる時間、最初にしたくなったのはやはりベンチプレスでした。

上からウエイトが落ちてきて、それを寝た状態で支えて戻す。

これはやはり筋神経生理学上、かなりのストレスです。

ラックから外すその瞬間から恐怖すら覚えます。

競技レベルでは胸先に”キス”させますが、腕が胸郭より下がると、肩関節にとっては、最悪の捩れになります。

いかに、大胸筋主役で、受ける、には、その肩関節の捩れを最小限にすること。

 

 

足を踏ん張り、背骨のアーチと共に受けるもの大切ですが、柔軟性の欠ける、あるいは、腰椎や頚椎を痛めている場合、そこにまた悪影響を及ぼします。

だからアーチは”捨てる”。

おのずと動画のような動きになります。

軽めではいけない、重くないといけない、でも、重さに拘りすぎたり、可動域に囚われると、大胸筋主導で無くなる。

この動きが今の僕にとってウエイトを胸主導で受ける”快適な”状態です。

これ数セットで心地よい筋肉痛です。

いかに楽しく、心地よく、怪我なく安全に重さを扱い続けられるか。

動作を”求め続ける”。

これもボデイビルの醍醐味と思います。