R6年度(2024年度)予算についてまとめておきます。

日本共産党東村山市議団は予算に反対しました。

討論に沿ってその理由を説明します。

 

前提となる予算については市が作成している概要をご覧下さい。

6yosangaiyou.pdf (city.higashimurayama.tokyo.jp)

 

 

 

誰一人取り残さない・・・

 

東村山市は予算のポイントとして「SDGs未来都市として、多様性・包摂性のある持続可能な 東村山市を目指し、経済・社会・環境の三側面で 新たな価値を創造するとともに行財政改革を推進する予算」としています。(※長い!!

 

SDGsの一番目に来るのは貧困をなくすことですが、予算概要で示される施策はひとつもありません。

「高齢者や貧困にある方などの弱者を取り残さない持続可能な自治体を目指す施策」はどれか、質疑で確認したところ、

第5次総合計画R6年度版実施計画r6_keikaku.pdf (city.higashimurayama.tokyo.jp)

で示される施策19「高齢者への支援がこれにあたる」がという答弁がありました。

 

高齢者食支援フレイル予防推進事業、通所型短期集中予防サービス事業、介護人材育成及び人材確保支援事業等があがっていますが、とても十分とは言えません。

 

貧困対策や高齢者施策への市の姿勢が表れていることは残念です。

 

 

 

何のためのデジタル化?

答弁であきらかになったデジタル関連予算への多額な支出。

DX予算に約18億円、うち一般財源は約13億円も充当し、別建てでスマートスクール事業に6億5千万円を計上しました。

DXが自己目的化しており、経常経費となってのしかかっています。デジタル事業の精査が必要です。

 

情報推進事業費は、費目も分かりにくく、ランニングコストとイニシャルコストも分かりにくいです。また、ランニングコストが次年度以降どうなるのか不透明。

デジタル化すべてが悪だ!とは言いませんが、「デジタル」と言いさえすればばく大な予算がつぎ込まれても良いのかというとそうではないと思います。

 

※情報推進課事業はこんな感じ・・・

1)         LGWAN業務系保守委託料 2770万3千円

2)         マイナンバー利用事務系保守委託料 1億4807万4千円

3)         インターネット接続・共通系補修委託料 7273万1千円

4)         マイナンバー利用事務系改修。設定変更委託料4492万3千円

5)         LGWAN業務系構築委託料 9725万7千円

6)         マイナンバー利用事務系構築委託料 9285万5千円

7)         使用料・賃借料として 4億9795万1千円

 

 

公民連携はバラ色か?

公民連携(他の自治体では官民連携と呼ぶところもあり、全国で広がっています)がさらに加速します。
※追加4/18 すべての委託がダメでも、委託事業者がダメとも思いませんが、公共の役割について考えてほしいです。公共は儲かるかどうかでは判断できない事業を担うことが役割だと思うので)
公共の役割を改めて問い直し、一旦立ち止まることを提案しました。
公民連携の初期は、費用対効果が強調されていたように感じますが、最近の答弁では「民間のノウハウを活用し多様な住民サービスに対応する」ことが目的に変わってきています。
費用対効果が言えなくなったのは、委託費用そのものが高額になってきているため。

R6年度予算では委託事業数896件。委託料総額104億4825万円。予算総額の16%が委託費用となっています。

内容は駅前開発や給食事業者選定等コンサルティング会社の介入まで様々。
例えば

★  開発関連

1)  東村山駅周辺まちづくり計画事業費 5284万2千円

○鉄道立体関連まちづくり推進業務委託料 2282万8千円(R5 1743万5千円)

○東村山駅周辺まちづくりデザイン検討業務委託料 1382万4千円

○東村山駅東口地区コーディネート業務委託料 1613万4千円(R5 546万7千円)

2)  久米川駅周辺まちづくり計画事業費 1994万4千円(R5 1713万8千円)

3)  秋津駅南口周辺地区まちづくり推進業務委託料 907万5千円(R5 900万9千円)

★ 事業者選定関連

1)   萩山小学校等複合施設整備 事業者選定アドバイザリー業務委託料 1755万3千円

2)  中学校全員給食 事業者選定アドバイザリー業務委託料 710万円

日本共産党市議団が考えるデメリットは次の通りです。
①行政の知見やノウハウの喪失
②公共の役割の空洞化
③情報開示が不十分
④民間事業者任せとなる従業員の処遇
⑤事業継続のリスク
⑥事業の肥大化
 
地方自治体の一番の仕事は「住民福祉の向上」であると地方自治法にもあります。
こうした事業が本当に、住民福祉の向上に資するものなのでしょうか?立ち止まって冷静に考えてみてほしいです。
 

 

何とかして!職員体制

1)生活保護のケースワーカー80世帯に1人というのが国が定める標準的な配置基準ですが、東村山市がこの基準に達するためには6名も不足

 

2)福祉部門への加配等、市民に直接かかわる業務に重点を置いてほしい

 

3)会計年度任用職員(生活困窮者、子育て世帯や高齢者、障がい者、子どもの声を聞ける職務に従事している非正規公務員)にリスペクトをもった処遇改善の早期実現をしてほしい!

 

4)役職者は男性ばかり。女性と性的マイノリティが意思決定の場に登用すること個人の能力や意識だけでは構造的なジェンダーバランスの不平等は改善できません。政策そのものも偏りがあるものになってしまうことも問題!

 

 

学校給食について

1)20年もの長期にわたる債務負担行為には不安が残ります。倒産のリスクは?食中毒やコロナは?大規模化によって学校給食で続けられてきた地場野菜はどうなる?不安なことがたくさんあります。

 

2)東村山市が誇ってきた自校方式の学校給食を手放す決断が萩山小学校の建て替えからスタートします。自校方式の学校給食を手放さずに守ってきたのにとても悲しいです。小規模な給食提供だからこそできることがあるはずなのに・・・

 

3)学校給食無償化の波からおいていかれるのに、「まずは中学校全員給食から始める」と言い切ってしまった市長さん。本当にそれでいいんでしょうか?

東京都の補助金を活用すれば年間3億円で実施できます。デジタル化とはずいぶんと対応が違いますよね・・・

 

 

住民福祉の向上はどこへ

その他、気になった事は

1)緑地・農地の公有地化が弱いこと(薬師山緑地の公有地化は良かったと思ってますがもっと進めてほしい)

2)小規模事業者支援が少ない

3)アインPAYを使った助成事業では市民サービスを享受できる市民に格差が出てしまう(自転車ヘルメット購入補助・住宅改修補助の助成はアインPAYのみ、厳禁対応せず)

4)運動公園プール廃止

5)議会で陳情が可決したのに加齢性難聴補助事業は進まない

 

自治体は国都の下請けじゃありません

国は軍事予算を増やして、社会保障費をどんどん減らしています。また、市民ニーズとかみ合わない事業でも自治体に事務負担をさせてきました。
東京都は未就園児預かり事業を作りましたが、事業設計も不明確で実態ともそぐわない事業なのに自治体は実施せざるを得ず、右往左往しています。
 
こうした強権的で、市民に寄り添わない国・都に対して、一番市民に近い存在である東村山市として国都にきちんとモノ申してほしいと思います。
 
討論で伝えたことを中心にまとめました。
いつも長文で申し訳ありません。
最後までお読み頂きありがとうございました。
 
討論原稿はこちらです。

DX予算に約18億円、うち一般財源は約13億円も充当し、別建てでスマートスクール事業に6億5千万円を計上しました。DXが自己目的化しており、経常経費となってのしかかっています。デジタル事業の精査が必要です。

公民連携のデメリットとして①行政の知見やノウハウの喪失、②公共の役割の空洞化、③情報開示が不十分、④民間事業者任せとなる従業員の処遇、⑤事業継続のリスク、⑥事業の肥大化をあげます。

各種事業者選定アドバイザリー業務委託、各駅周辺まちづくり事業の委託等、必要性に疑義が生じる予算が計上されています。コンサルティング会社に1億円以上もの予算を投じることが住民福祉の向上につながるとはとても思えず、公民連携の見直しを求めます。

職員体制ついて、生活保護のケースワーカーは、80世帯に1人という国の標準的な配置基準に6名も不足しています。福祉部門への加配等、市民に直接かかわる業務に重点を置いてほしかったです。

会計年度任用職員は、生活困窮者、子育て世帯や高齢者、障がい者、子どもの声を聞ける職務に従事しています。リスペクトをもった処遇改善の早期実現を求めます。行政が担う業務は多岐にわたり、市民から評価される機会が多くはありません。大型開発や華やかな事業の裏で地道に自治体を支え、住民のくらしを支える職員が、いきいきと仕事ができる市政の実現を求めます。

本予算委員会の答弁者の多くが男性であったように、意思決定を行う職員はほぼ男性のみです。個人の能力や意識だけでは構造的なジェンダー不平等は改善できません。女性や性的マイノリティの声を反映できる職員体制を求めます。

学校給食の手法について、20年もの長期にわたる債務負担行為には不安が残ります。何より東村山市が誇ってきた自校方式の学校給食を手放す決断に、悲しい気持ちでいっぱいです。

都内で広がる学校給食無償化も、議会で陳情採択された加齢性難聴の補助事業も実現せず、小規模事業者と、農家への支援、地産地消の取組み、緑地公有地化、気候危機対策への予算は不十分です。東村山らしい里山の風景を守るために、緑地の管理・公有地化、農業への抜本的な支援を求めます。

アインPAYによる自転車ヘルメットの購入補助・住宅改修補助は、デジタル弱者への配慮がなく、運動公園プールの廃止は住民福祉の低下につながります。

能力や稼ぐ力、障がいの有無、性差、年齢による格差を生む行政運営はあってはならないことです。マイノリティの意見を積極的に予算に反映させてこそ住民福祉の向上は実現できるはずです。

加えて、軍事予算を増額し社会保障を減らす国も、不十分な制度設計と当事者の声に反する緊急1歳児受入事業を自治体に押し付ける東京都も、市民の要望と地方自治体に寄り添っているとはいえません。国都に意見していただきたいことを申し添えて反対討論とします。