3月議会の生活文教委員会に付託された図書館長の資格要件の緩和について忘れないうちにまとめておきます。
今回の議案はこちらです。
r6-si-07.pdf (city.higashimurayama.tokyo.jp)
司書の要件は残しつつ緩和する改正であるとして、
「館長は、法に規定された司書の資格を有する者又はその職務の経歴により館の業務を行うのに十分な資質を有している者でなければならない」
という議案が委員会で可決しました。
この後本会議で採決をしますが、自民党・公明党・かくた委員が賛成しているので
この議案は可決する見込みです。
関連する法律として
図書館法はコチラ
行政側の主張
○司書採用の方の定年退職が多いこと
○管理職として人材育成ビジョンを持っている正規職員に館長職を担ってほしいこと
○H11年の地方分権一括法案(※参考資料としてこちらがわかりやすいかと思います000327098.pdf (soumu.go.jp))により、司書資格要件が削除されているため、法令による司書資格の規定はないこと
○各館の司書資格と職員に占める割合・職員体制
中央図書館 23名・31名
富士見図書館 6名・7名
萩山図書館 6名・8名
秋津図書館 9名・11名
廻田図書館 5名・7名
有資格者47名 77%が資格を有していること
職員総数64名
○司書の人数には会計年度任用職員が多く含まれている。図書館長は正規職員から配属しているため、現在図書館で業務を行っている会計年度任用職員から図書館長に登用する仕組みにはなっていないこと
○館長の仕事内容は、図書館法13条2項の通りと認識していること
※参考
第十三条 公立図書館に館長並びに当該図書館を設置する地方公共団体の教育委員会(特定地方公共団体の長がその設置、管理及び廃止に関する事務を管理し、及び執行することとされた図書館(第十五条において「特定図書館」という。)にあつては、当該特定地方公共団体の長)が必要と認める専門的職員、事務職員及び技術職員を置く。
2 館長は、館務を掌理し、所属職員を監督して、図書館奉仕の機能の達成に努めなければならない。
○行政側の議案提出についての説明にある「安定的な人材登用」とは、幅広い人材の登用が可能となり、持続可能な図書館が運営できる適切な人材を登用可能にすることを意図していること
○司書要件を全廃する訳ではなく、要件として残した上で緩和するものであり、図書館長としての基準については逸脱するものではない(※これを答弁された図書館長の心中やいかに。図書館長に求められる基準を下まわることとなると思いました。私は思わず泣きました)
○図書館協議会では資格要件緩和について諮ったわけではないため結論は出ていない
○理事者が変わると、図書館長選任の基準は変動すること(※その時々で判断するという教育長答弁がありました)
私の感想
答弁者が図書館長だったので、とても切ない気持ちになりました。
図書館長の司書資格は大事です。
わざわざ蔑ろにするような議案を提案してくる市長部局にも
賛成する議員に対しても、何とも言えない悲しい気持ちになりました。
さらに、会計年度任用職員の方には司書資格をお持ちの方が沢山いらっしゃいます。
こうした方々へのリスペクトがあれば、会計年度の方から図書館長を抜擢するような施策を検討しても良いのではないでしょうか。
司書としての役割を軽視していると感じてしまうような議案には
率直に言ってガッカリしますし怒りを覚えます。
管理職ってそんなに偉いんでしょうか。
司書としての仕事をベースにした図書館長を選任することは
図書館の独立性を守り、知る権利を保障することにつながります。
こうした司書要件を守り通すことこそ
住民福祉の向上につながるのではないでしょうか。
理事者が変わると選任基準が変わるという点についても強い危機感を感じます。
市民にとって知識のベースとなる図書館は自主独立の運営ができるようにすることが必要です。
国も、市も、教育長を市長部局の下に置いて(これは国が推進していることでもありますが)、教育の独立性が狭められていくことは恐ろしいです。
カフェ併設や、新刊充実も悪いことではありません。
ただし図書館のベースに必要なことは、アーカイブをそろえ、レファレンス機能を充実させ、市民の知る権利を保障することが大前提です。
貸し出し件数が少なくても、知を守る役割が図書館には必要です。
貸し出し件数や利用者数だけで判断してはいけない
大事な役割が図書館にはあるというのが私の考えです。
司書資格の要件が残ったとしても、実質的な要件緩和は問題です。
市民が知らないうちに様々な改正という名の改悪が進んでいます。
あきらめないで市民と情報共有し、学びを深めながら抗っていきたいです。
最後までお読み頂きありがとうございました。