3月議会の一般質問3つ目は生活保護について取り上げました。

音声データから書き起こして要約しています。

 

 

質問項目

 

質問1)ケースワーカーの人数と担当世帯数の平均、最多担当件数、社会福祉士の資格、精神保健福祉士を持っているケースワーカーの人数を経年でうかがいます。

 

答弁から作表

 

2018

H30

2019

R1

2020

R2

2021

R3

2022

R4

ケースワーカー人数

23人

23人

23人

23人

24人

担当世帯数平均

110.7

109.3

109.1

107.0.

101.8

最多担当件数

144

149

136

135

139

社会福祉士

7人

5人

2人

3人

3人

精神保健福祉士

0人

0人

0人

0人

0人

 

質問2)ケースワーカーの負担が重いことをこれまでの議会でも指摘してきました。最多件数で139世帯は多すぎるのではないでしょうか。

社会福祉士さんがH30年は7名ですが、R4年は3名しかいらっしゃいません。

保護利用者は精神的、健康上、家庭の問題など、複合的な問題を抱え、さらにそれが複雑に絡み合っている場合が多い実情があると言われています。

ケースワーカーさんの業務は大変になっていると思います。

この配置人数について所管ではどのようにとらえていらっしゃるでしょうか。

 

答弁2)社会福祉法で標準とされている1ケースワーカー80世帯という配置と比べると、担当世帯が多いということはありますが、就労支援、金銭管理委託などを委託し、業務を担っていただき何とか対応している状況です。

社会福祉士については査察指導員などに昇任していることもあるため、一定の対応はできています。

 

私)支援員を配置して対応という答弁もこれまで繰り返されてきましたが、複合的な課題を抱えているケースがあり、その方が抱えている問題がどの専門分野なのか、的確に判断することが大事なことですし、その窓口になるのがケースワーカーです。

必要な書類を書くこと、抱えている問題を表現することがむずかしいという方もいらっしゃいます。困難性を的確に自分で言える方ばかりではありません。

困難性をどうくみ取って、どの支援に振り分けるか、そういう判断も求められるのがケースワーカーさんです。

資格を持っていることも、人数を確保することが大事です。どんなに優秀な方でも件数が多ければ対応も難しいと思います。ぜひ人数を増やしていただきたいです。

 

 

質問3)   「扶養調査票」の目的と活用方法をうかがいます。申請者への扶養照会の意思確認は、いつ、どのように行うのですか。調査票に記載される人数のうち「扶養義務履行が期待できない者」として取り扱われた人数と割合はどうなっていますか。

 

答弁3)扶養調査票は、生活保護法に基づき扶養義務者の存否の確認を目的にご記載いただき、扶養の可否について通知を送るために活用しております。

扶養照会の意思確認のタイミングは、保護申請時に相談員から、また初回面接にケースワーカーから確認を行っています。

本人から関係を聞き取る中で扶養義務意向が期待できないと判断した場合や、配偶者の暴力から逃れてきた場合等、虐待等の経緯があったと扶養を求めることにより明らかに要保護者の自立を阻害することになると認められる場合については扶養紹介を行わないと個々の状況に基づいて丁寧な対応を行っています。

扶養義務履行が期待できないものとして取り扱人数と割合については統計を取っておりませんので答弁できません。

 

質問4)  扶養照会の統計を取っていない理由をうかがいます。

 

答弁4)扶養照会の目的は保護の決定や、今後の精神的な援助の可否を確認するなど個別の支援に役立てるために行っているため特段、統計をとってないところです。

 

(↑↑↑この説明で納得できる方、いらっしゃいますか?)

私)つくろいファンドの稲葉剛さんが「扶養照会は三方悪し」とおっしゃっていて、統計を取っている足立区では扶養照会を実施し扶養に至った件数はわずか0.3%、荒川区では0%だったということがあります。

生活保護申請に伴う扶養照会、効果は少なく当事者・親族・職員に悪影響の現状 : BIG ISSUE ONLINE (bigissue-online.jp)

扶養照会自体も大変ですし、全くゼロにする必要があるとは思っていませんが、どんな活用をするのか、扶養照会は義務ではないということを明示しないと、申請のハードルとなってしまいます。DVの方だけではなく、扶養照会があるから申請にはいきたくないといわれる方もいらっしゃるので、やる意味がどのくらいあるのかということ、見直しと検討が必要です。そのためにまずは調査・統計をしていただくことを求めます。

 

質問5)生活保護利用者の市内の状況を経年でうかがいます。

※東村山市の生活保護利用状況

H30  2,560世帯  3,330人  

R1  2,541世帯  3,302人  

R2  2,531世帯  3,248人  

R3  2,465世帯  3,121人  

R4  2,449世帯  3,051人  (ここまでは市のデータを基に私が作成)

 

受給中に申請できる経費

1住宅に関する経費

H30/2018 

R1/2019 

R2/2020 

R3/2021 

R4/2022 

959件

936件

1019件

985件

846件

2就労に関する経費

H30/2018 

R1/2019 

R2/2020 

R3/2021 

R4/2022 

17件

19件

5件

10件

17件

3子どもの学習・部活・進学などに関する経費

H30/2018 

R1/2019 

R2/2020 

R3/2021 

R4/2022 

1692件

1219件

1028件

951件

699件

4健康維持に関する経費

H30/2018 

R1/2019 

R2/2020 

R3/2021 

R4/2022 

4510件

4764件

4240件

4705件

3946件

 

生活保護法外の制度で支給できる支援

1就労支援

H30/2018 

R1/2019 

R2/2020 

R3/2021 

R4/2022 

4件

2件

2件

2件

0件

2社会参加活動支援

H30/2018 

R1/2019 

R2/2020 

R3/2021 

R4/2022 

0件

0件

0件

0件

0件

3地域支援移行事業

H30/2018 

R1/2019 

R2/2020 

R3/2021 

R4/2022 

66件

59件

56件

58件

51件

4次世代育成支援

H30/2018 

R1/2019 

R2/2020 

R3/2021 

R4/2022 

40件

40件

43件

34件

25件

B 眼鏡や補聴器、つえ、車いすを現物支給した件数

H30/2018 

R1/2019 

R2/2020 

R3/2021 

R4/2022 

175件

160件

149件

154件

117件

C 転居の要望があった件数と、転居指導を実施した件数

統計なし

D 移送費を支給した件数(転居に伴う支給を含め、生活扶助における移送費を支給した件数)

H30/2018 

R1/2019 

R2/2020 

R3/2021 

R4/2022 

553件

512件

400件

500件

479件

 

質問6)この数字をどのようにとらえていらっしゃいますか。

 

答弁6)制度に照らし合わせて支給をしているととらえています。

 

私)例えば眼鏡なら4年に1度支給できるなどの基準がありますが、そうした周知がどこでされているのか、相談を受ける中で疑問に感じています。

生活保護のしおりには「必要になったら相談して」と書いてあるだけなので、もっと丁寧にやってほしいことをお伝えします。

 

質問7生活保護は権利であり、その制度内容を周知することは重要です。生活保護のしおりをホームページからダウンロードできるようにすること、図書館や公民館、市役所の情報コーナー等にも置いて内容を周知することが必要ではないかと思いますがいかがでしょうか。

 

答弁7)生活や仕事などに行うなど窓口としてほっとシティ東村山があり、自立に向けた相談支援を行っております。相談の中で、生活保護が必要な方や申請意志のある方には、同フロアに生活保護の面接相談員がおりますのでワンストップで生活保護の相談をするよう体制を整えております。

 

ご本人の不利益にならないよう丁寧な説明を行ない、制度を理解した上でご申請いただいているところでございます。このことから相談者に対しましては制度の説明を丁寧に行ったうえで申請いただくようにしておりますので、現在、ホームページの掲載や窓口の公共施設に生活保護の使用を設置することはしておりません

 

生活や仕事にお困りの方が早い段階で市に相談に来ていただけるよう公共施設や市内の商店などにほっとシティ東村山のポスターの掲示やチラシの配布を行うなど丁寧な周知をすることによって早期の自立が図られるというふうにすることが重要であると考えているところです。

 

私)それでは足りなくて、相談者の方でほっとシティで生活保護の説明をうけなかった方がいました。なぜ説明をしなかったのか、ほっとシティの窓口で聞いたところ「本人から生活保護って言われなかったから」と。なぜそういうことが起きるのか、制度の周知に不足しているからです。

なぜこれだけデジタル化が進むのに、こんなにかたくなに生活保護のしおりをHPに載せないのか私には全く理解できないし、しおりはHPに載せるべきだし、いろんなところに置くべきです。市はいつも後ろ向きな答弁ですが検討してほしいです。

 

 質問8)「生活保護は権利」とポスターを掲げる自治体が増えています。中野区、新宿区のチラシ・ポスターのように、当市でも相談のハードルを下げる視点で同様のチラシやポスターを作成すべきではないでしょうか。

 

答弁8)生活保護は権利といったポスターなどの掲示ではなく、ほっとシティ東村山のポスターの掲示やチラシの配布を行うなど丁寧な周知をすることによって早期の自立が図られるようにすることが重要ととらえています。

 

私)ほっとシティのポスターを自分のお店に貼ってある方と一緒に、生活保護の相談等をしました。こうした事例はおかしいです。周知されていれば、私が相談に乗ることはないはずです。

新宿区のポスターは「ずっとひとりで頑張っていた。困っていることに気が付いた。相談できてよかった。」

生活保護は誰もが相談申請できます。まずは話してみませんか。って新宿区。

相模原市のポスターにも「生活保護は国民の権利です」と大きく書いてあります。

相模原市生活保護A2ポスター.indd (city.sagamihara.kanagawa.jp)

中野区のポスターは「生活保護の申請は国民の権利です」と同じようにあります。

生活保護申請は_2023.2 (tokyo-nakano.lg.jp)

これと同じことを東村山市でもぜひやっていただきたいです。

とても大事なことですのでこれからも、この問題については求めて参ります。

 

 

質問を終えて

 

生活保護のケースワーカーさんはあまりにも忙しすぎます。ケースワーカーさんについての不満を生活保護利用中の方からおうかがいすることがありますが、まずは担当件数を国標準の80世帯にすることが喫緊の課題だと思います。

質問の中でも指摘しましたが、生活保護のしおりまでのハードルが高く、生活保護のスティグマを解消するためのポスターさえないのが東村山市の現状です。

 

東村山市はSDGsを目標に掲げています。SDGsの持続可能な開発目標の17のうち、1番最初に来る「貧困をなくそう」を本気で取り組もうと思っているならば、生活保護制度の運用について、一刻も早く改善することが必要です。

 

物価高騰で生活のご相談を承ることが増えました。使える制度をきちんと使うこと、足りない部分については政治で改善させていくためにこれからも取り組んでいきたいです。

健康で文化的な最低限度の生活。図書館で本を借りるのと同じように、生活保護が必要な人に届くような制度になってほしいです。

「生きていることそのものに価値がある」という立場に立てば、絶対そうならないといけないはずです。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。