陳情審査で都立高校入試に英語スピーキングテストの導入中止を求める陳情について

生活文教委員会で審査を行いました。

陳情項目は2項目です。

一.         スピーキングテストを都立高校入試に導入しないでください。

二.         スピーキングテスト実施日の実態調査の結果を公表してください。実態調査の結果とは、受験生のようす全般、テストに用いた機器・器具全般など

 

これまで、都立高校入試英語スピーキングテストに反対する保護者の会(twitterアカウント都立高校入試英語スピーキングテストに反対する保護者の会(@hogosha20221127)さん / Twitter)が、ずっと問題点について指摘されてきたスピーキングテスト。

 

東村山市議会では、日本共産党の山田たか子市議が2022年、9月議会の一般質問で取り上げています。

質問通告はコチラ(https://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/gikai/gikaijoho/kensaku/r4_honkaigi/040831kaigiroku.html

議事録はコチラ第14回 令和4年8月31日/東村山市 (city.higashimurayama.tokyo.jp)

 

委員会では、たか子さんが指摘している事、実際にテスト当日に起きたトラブルについて次のような指摘をしました。

・公平な採点が極めて困難

・当日、会場で音漏れがあった、周りの子の声が録音されたこと

・1台の端末を2人で使用するため前半・後半で別れて問題が流出したこと

・配点の問題

※5教科(英語・数学・国語・理科・社会)は5だった場合の換算点は1教科で23点。

英語の一部に過ぎず15分ほどで行われる「話す力」の換算点が20点でいいのでしょうか?

国数理社は5でも23点。英語は5で、スピテもAなら合計で43点となってしまいます。

ESATJでは

テスト点

調査書段階

調査書換算点

100~80

A段階

20

7965

B

16

6450

C

12

4935

D

8

341

E

4

0

F

0

 

・不受験者の点数と逆転現象について

(不受験者について)学力検査とESATJの相関関係を示すデータはあるか?→(都教委)データなし

(他の受験生の平均から算出することについて逆転現象が起きる可能性は?→(都教委)否定せず

不利を被る事態への対応は?→(都教委)対応せず

不受験の場合、スピーキングテストの点数を、英語の筆記テストで同点だった子のスピーキングテストの点数を活用して、不受験者の点数とします。他人の点数でスピーキングテストの点を決めること自体がおかしいです。

 

配点の問題、不受験者の問題、問題流出、音漏れの4点は入試に活用してはならないという大きな理由になるのではないでしょうか。

こうした不適正は、スピーキング力の重要性とは全く違う話です。

 

入試改革を考える会、都立高校入試 英語スピーキングテストに反対する保護者の会、都立高校入試への英語スピーキングテスト導入の中止を求める会、中学校英語スピーキングテスト(E-SATJ)の都立高校学校の入学者選抜への活用を中止するための都議会議員連盟が実施した#ESATJ実施状況調査まとめ(速報)についても紹介しました。

#ESATJ実施状況調査 まとめ(速報)  日本共産党東京都議会議員団 (jcptogidan.gr.jp)

 

賛成する委員の主張は、次のようなものでした。

・すでにスピーキングテストは実施されている

・スピーキングの実践的な力をつけることが必要

・テストは急に始まった訳ではなく、H31から準備がされてきた。

・テスト運営の課題は少しずつ克服していくことが重要

・課題があるからやらないというのではなく、問題を解決していくことが重要

・小学校から英語学習が始まっている。どこかで評価をしなければならない

・公平性の観点で準備してきた努力が無駄にならないようにすることが必要

 

賛成する議員(石橋光明委員、清水あづさ委員、鈴木たつお委員)の主張は、

これまで出されてきた実態にも、不公平で不公正なテストにも向き合う内容ではありませんでした。

また、ESATJを受験したという鈴木委員からは「受験したが採点結果に問題は感じなかった。受けてもいないのに意見を言うのはどうなのか」という意見が出されました。

自分でテストを受けることを否定するものではありませんが、実際に受験した子どもたちの声、実態に耳を傾けることもせず、

自分が受けた感想によって判断することは、視野が狭いものではないでしょうか。

 

実際に試験を受けて、その不公平さに泣くのは子ども達です。

実施されたスピーキングテストを高校入試の判定につかうことは絶対にあってはなりません。


委員会でかみまち委員から「所管から誰も参加していないのはおかしい。実態を聞きたかった」と指摘がありました。私もこの点については全く同意見です。

 

賛成討論

日本共産党会派として、都立高校入試にスピーキングテスト導入中止を求める陳情に賛成の立場で討論します。

スピーキングテストは、実施される以前から、数々の問題点が指摘されてきました。①公平な採点が極めて困難であること ②保護者への説明が不十分であること、③到達度を把握するための学力テスト、アチーブメントテストの実施を都教委が、市区町村教育委員会や中学校、中学生に強制する権限はないのに、テストの結果を受験に使うことによって、実施しない選択肢をふさぎ、事実上の強制につながること、④あいまいな採点基準 ⑤不受験者の点数化が適当すぎる⑥テストの点数の換算が入試にはなじまないことなどです。

 

中学校英語スピーキングテストの都立高等学校の入学者選抜への活用を注視するための都議会議員連盟がまとめた実施状況調査では、スピーキングテスト当日に起きた①前半と後半の問題流出、②音漏れ、③出題範囲が超えている問題が報告されています。スピーキングテストが入試として不適切であることがはっきりしています。ESATJ実施後に明らかになった問題は、実施前に多くの懸念の声が上がっていたものばかりです。不安の声に全く耳を傾けずに不公平で不公正なテストを強行した都教育委員会は、これ以上問題を広げないためにも入試への活用は今すぐに中止の決断をすべきではないでしょうか。

東京都がこうした実態を無視し影響はないと表明している点は非常に問題です。問題がないというのであれば、東京都として広く調査を行い、結果を公表すべきです。

 

スピーキングテストを入試に活用することを認めてしまえば、子ども達はスピーキングの間違いを減らそうと委縮し、スピーキング力が高まるどころか、むしろ話せなくなるとの専門家の指摘も出ています。スピーキング力の育成の重要性は否定するものではありませんが、入試へのテスト導入はスピーキング力を高めることにはつながりません。

 

日本の教育システムでは、選抜は入学試験に集中しています。ESATJは都立高入試の信頼を損ねるものです。ここで公平性を壊すことは、教育システム全体を壊すことにもつながる、教育行政そのものの信頼を保つことも危うくなるという専門家の指摘もあります。

高校受験という、大きな人生の岐路に立つ子ども達に、不公平で不公正な試験を強いることで、進路を左右することはあってはなりません。試験そのものは行われましたが、来年の入試判定に反映させないことは可能です。これを機に、スピーキングテストの全国展開をすすめようとしていますが、子ども達の声も聞かずに強行させることは何としても中止させたいです。

今、受験生はテストの結果がどうだったかと気にしながら受験勉強に励んでいます。1日も早い東京都の決断を後押しするために、東村山市議会の良識として、すべての議員でこの陳情を採択できることを心から願います。

 

 委員会陳情は不採択。委員会では、清水あづさ委員(自民党)、石橋光明委員(公明党)、鈴木たつお委員が反対しており、私(共産党)とかみまち弓子委員(立憲民主)が賛成です。今の議席数を考えると本会議での採決も反対多数で不採択となる情勢です。


オンライン署名は今も実施中。

入試へのスピーキングテスト導入を許したら、全国に広がりかねません。ぜひ多くの皆様に署名にご賛同いただきますようよろしくお願いいたします。

 

※署名は2種類あります。

キャンペーン · 都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求めます! · Change.org

 

キャンペーン · 都立高入試に英語スピーキングテストを使わないでください · Change.org