今回は、松旭斎天勝コレクションアイテムをご紹介していきたいと思います。
松旭斎天勝といえば、明治・大正・昭和戦前と、一世を風靡した女流奇術師です。
当時の女性にはない大胆さと、花のある美しさが、今もファンの心を捕えてやみません。
という私も天勝マニアの一人で、天勝グッツを見ると、手に取りたくなってしまう性分です。
特に天勝アイテムで人気が高いのは、プロマイドや絵葉書類です。
(※天勝関係の写真類に関しては、拙著「大正昭和美人図鑑」でも取り上げていますので、ご興味のある方はご覧くださいませ。)
当時としても人気が高かったため、明治から昭和戦前にかけて、かなり多くの絵葉書類が発売されています。
それは天勝ファン目当てと思われるものから、単に洋装の美人絵葉書として販売されたのだろうと考えられるものまで、幅広くなってます。
天勝絵葉書の特徴は、(実際には肉襦袢を着ているとは思いますが)とにかく肌の露出の高いものが多いところです。
当時の男たちは、天勝の悩殺絵葉書を密かに大切にしていたのではないでしょうか。
このように大胆で色っぽいイメージの天勝ではありますが、実際の舞台では子どもの観客を大切にして、家族で楽しめるショウを展開していました。
そして、続いてはパンフレットです。
天勝は流行に敏感で、オペラが評判になると一座に歌劇部を開設したり、ジャズが流行り出すといち早く日本に紹介したりと、各方面で足跡を残しています。
この1926年(大正15)に発行されたパンフレットも、非常に奇抜なデザインが特徴的です。
流行していた表現派を取り入れており、柳瀬正夢がデザインを担当しています。
あらゆるところにアンテナを立てていたことがわかりますね。
このパンフレットにはアンケート欄も用意されており、現在のパンフレットの原型になっているともいえます。
後に浅草花月劇場の名物となるヴァージニア嬢(生粋のアメリカ人なのに、チャキチャキの江戸弁を喋る)も、天勝一座の海外興行の際に参加し日本にやってきたことを知ることができます。
最後にご紹介するのが、天勝のカードです。
私が所有しているのは二代目天勝のもので、1938年頃のものと考えられます。
初代に負けず劣らず、美しいですね(もともと持っていた方が口紅の色を…涙)。
このカードは、舞台の上から観客席に撒いたもので、販売されたものではありません。
片面には化粧品の広告が印刷されています。
今回は天勝アイテムについて解説してきました。