2019年2月6日
 
 
アリムタ・シスプラチンを3クール、
オプジーボ治療を8回受けた後のCTの結果。
 
 
・がんの進行が認められ、オプジーボが奏効していないこと
・尿蛋白が出ていて、オプジーボの副作用が出現していていると思われること
・他の抗がん剤治療も考えることはできるが効果があまり望めないこと、入院生活にストレスを感じやすく病院食も受け付けない、副作用に弱い夫には負担が強いかも知れない
 
 
といった事が、主治医から夫、私、義母に告げられました。
義母は普段は通院には付いてこられていなかったのですが、
毎回撮られているここ何回かのレントゲンではわずかですが良い兆しが見られていたので
(本人は倦怠感や息苦しさが改善していないので、良くなった自覚はないと言っていました)
病院の治療に懐疑的だった義母に少しでもいい知らせを聞かせたくて、別々の車で病院で合流したのでした。
しかし今回の受診で、今後お世話になる緩和ケア病院を探して行くことも含めて
主治医の説明書を聞いた時、
義母も同席した状態であれこれ時間をかけて
今後の相談をする事もできず、副作用が劇的に出現した時はすぐに中止していただく事を条件に、気持ちが落ち着くまでオプジーボを継続させていただきたいとお話しし、診察室を後にしました。
 
 
とりあえず、誰も座っていない待合いスペースを探し、車椅子の夫と義母と私が一旦落ち着いて、主治医の話を整理できるように、
気持ちを共有できるようにとソファに腰かけようとしたのですが、義母は
「じゃあ、もう、帰るから」
とハンカチで目を押さえながら帰っていかれました。
(このあたりはアメンバー限定記事に書いています)
この後も、義母とは何度か気持ちのすり合わせの時間を持とうとしましたが、最後までうまくいきませんでした。
 
 

うちは、経済的にも体力的にもセカンドオピニオンなどは考えられなくて。
 
 
病気が発覚した時点で色々調べはしたのですが診断と進行状態を説明された時に、夫の方から
「あちこちに移動する時間やお金をかけるくらいだったら、旨いものたべて温泉に行って
パチンコ打って過ごしたい」
と希望が出されていました。
 
 
「嫌な人間かも知れないけど、自分に関わってくる人間すべての裏を見てしまう、何をされても声をかけて貰っても素直に受け取れない」
とも。
 
 
夫にとっての問題は、病名がついたこれからの時間を、経済や体力的なものというよりも、
色んな立場の色んな方々と接する機会が増え、不満を抱えながら精神的に疲弊して過ごしていく事が辛かったのだろうと思います。
そして、辛くて良くない態度をとる自分に対して、『がん患者だから見守らなければ』と気を遣う回りの人達に負担をかけることをとても恐れていました。
偏屈そうでも、気を回しすぎるくらい気を回す人でした。


治療中、医療関係者の方々に失礼な態度をとることもありヒヤヒヤしましたが、
『それが夫という人間だ』
と思い、甘えさせていただきました。
スタッフの方が介入できない部分はすべて私がやれば良いと。
私なら下手なケアでも不満を溜め込まず文句が言えるし、私も黙って言われるがままではないので、多少は安心して任せてくれたのではないかと思っていますニヤリ
 
 
 
 
 
話は戻りますが、主治医からオプジーボ治療の終了を相談された帰り。
私が運転する車の中。
「いつか来るだろう日」はお互いちょこちょこ予想はしていて、でもまさか今日であるとは思っていなくて、頭が混乱しながら、でも突出痛が起きないようにマンホールや凹凸に最大限注意を払いながら運転をしていました。
 
 
そこで夫からお願いされたのは
『自分の事をブログに書いてほしい』
でした。
 
 
私は、
「ブログは発信力のある、精神力の強い人が書くものだ」
と思い込んでいて。逆に呆れて
「何を書くの?」
と聞き返してしまいました。
 
 
もちろん二人一緒にいることが楽しくて、ありがたくて大切な時間に間違いはないのですが、
治療には前向きじゃない、不勉強、喧嘩や不満も多く、苦行のロングドライブやパチンコ生活がほぼメインでゲロー
こういう日常を綴って、誰が得をするのかゲッソリ
 
 
 
でも、夫は、
それでいい、今までの事、これからの事、
病気や痛みで苦しんだり、うろたえたり、けんかしたり。普段どおりばかしかやらない自分を、ありのままを書いてほしい
と言いました。
 
 
夫は、もともとブログなどみる人ではなかったのですが、病気をきっかけに右田さんをはじめ何人かの方々のブログを拝見させていただいてたようでした。
 
 
 
こうして、1年前の今日、夫から望まれたのがきっかけでこのブログを始めることになりました。
 
 
 
1年後の今日。
あの日から色々な事があり、
大きなものを失い、
そして思いもよらない大切なものも得ました。
 
 
夫が願ったブログをきっかけに、沢山の同志の方と廻り合い、支えていただいています。
 
 
皆さんに背中を押されて、がむしゃらに進んだ結果、色んな手続きを経て、
機械が苦手な私が、パソコン技能を習得するために作業所に通っていますニコニコ
お芋の皮むきのスキルは、少しはアップしたようです。
 
 
仕事で疲れて横になっても、悲しみで寝込むことはほぼなくなりました。
涙はまだ1日1回は出ますが。
 
 
自分を諦めないことで、どこかには進むことができるのだと驚いています。
 
 
なにより、夫がブログを書いてほしいと言ってくれたことで、パソコンや、携帯を開くと
夫との日々が鮮やかに甦ります。
 
 
苦しくも、寂しいこともあったけど、夫を支えてくださるスタッフの方々との関わりや
治療や入院で迷ったときに、必ず困ったように私の顔をみる癖や、きついときに返事は出来なくてもニヤッと笑ってくれたこと。
全部、残っています。
 
 
 
太郎さん、あの時ちょっと呆れてごめん。
始めたブログは、今心の支えになっているよ。