リサ・スタンスフィールドという。
本当にこの人は、彗星のように現れた。
少なくとも個人的にはそんな印象があった。
Affection/Lisa Stansfield
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ところが、などと勝手に思い込んでいたら、
デビューはなんと、81年ではないですか。
しかも同い年。
いや、今日まで全然知らなかった。
ということは、当時彼女は若干15歳。
デヴィルだがデュレコ・ベネルクスだかいう
知らないレーベルからの
リリースではあったようだけれど、
それでも、とにかくはこの段階でもう
プロにはなっている訳である。
うーん、自分は学祭で『チャコ』とか
『ハローグッバイ』とか弾いてた頃だな。
あ、ちなみに『ハローグッバイ』は
そういえばビートルズも柏原芳恵も
両方やったわ。これも今まで気づかなかった。
なお、ビートルズの方の表記は
「グッバイ」の箇所に「ド」が入るのが
本当は正しいので念のため。
まあとにかく、調べがついた限りでは彼女
どうやら14才の時に、イギリスの
スター誕生(古い!)みたいな番組で優勝し、
翌年シングル盤を出したという
経緯であるらしい。
もっともこの時代の作品はさすがに、
アルバムにまとまるまでには
至ってはいないようだから、
ま、たぶんそれなりのものでしか
なかったのだろうと推察される。
でもこのリサは、あるいはこの時に、
音楽の道を自分の足で歩いていこうと、
まあそんな決意を固めたのかもしれない。
数年後、ティーンネイジャーも
終わりにさしかかろうかという時期に、
リサは初めてのバンドを組んでいる。
ブルー・ゾーンという名前の
この三人編成のユニットは、
80年代の中盤から終盤にかけ、
アルバム一枚と数枚のシングルとを
発表してこそいるのだが、
こちらはどうやら、商業的な成功を
収めるまでには至らなかった模様ではある。
恐縮ながら僕も未聴。
ライナーノーツには
目を通していたはずなのに
バンド名さえ記憶に残ってはいなかった。
ところが極めて興味深いのは
この時の残りメンバー二人が、
ブルー・ゾーンの活動停止後も
引き続き、途切れることなく
ほぼ現在に至るまで、
このリサのソロ活動を
支え続けてきていることである。
しかもうちの一人、イアン・デュヴニーは
98年にはついに彼女の伴侶ともなっている。
だからある意味では、
このブルー・ゾーンなるバンドは
実はずっと存続し、
リサ・スタンスフィールドという
ソロ・アーティストにしか見えない
看板を掲げることによって、
自分たちの音楽を、
市場にアピールしていくという方法を
選択したのだといえるのかもしれない。
もっとも、三人目のアンディ・モリスなる方は、
近年、この制作チームからは
ついに外れてしまったようだけれど、
残念ながら詳しいことまではわからなかった。
AFFECTIONはその彼女、
もしくは彼らの
ブレイク・スルーとなった一枚。
89年の発表である。
改めて引っ張り出して聴いてみると、
この作品が当時あれほど支持された理由も
なんとなくわかってくるような気がする。
このアルバム、全体にリズム隊が
相当アヴァンギャルドである。
まあ前衛的とはいっても、
今となってしまえば、
その当時は、ということでしかないのだが、
ある意味ドラムンベースの
走りだったのかもしれないなあ、と、
まあそんな感慨を抱きながら聴いた。
ソウルⅡソウルの登場が88年だから、
なるほど時期的には
彼らに先を越されいてはいるのか。
しかし本当、
このタイトル通りのサビは
一発で記憶に残ったし、
当時相当よく耳にした。
で、この人の作品があまり
エレクトロ・ポップっぽくないのは、
バッキングの要の部分に大胆に
フィーチャーされたストリングスと
それからソウルのエッセンスを
上手く吸収したソングライティング
そしてもちろん、リサ本人の
ヴォーカル・スタイルによるのだと思う。
All Around the Worldは、
その魅力が存分に発揮された一曲である。
名曲といってたぶん間違いはないだろう。
リサはその後91年にセカンド
REAL LOVEを発表している。
バリバリのフィリー・ソウル
みたいなエッセンスが
イントロから炸裂してくる
Set Your Loving Freeなど、
結構印象に残ってもいる。
もっとも恐縮ながら、
僕が聴いているのはここまでである。
それでもこの作品もAFFECTIONと同様、
極めて安定しているといっていい。
プログラミングされた複雑な
リズム隊のパターンに、
弦や管の生音がかぶさって、そこにリサの
エモーショナルなヴォーカルが
絡み合ってくるという
サウンド・メイキングは健在である。
で、僕はずっとこの人、
結局はワン・ヒット・ワンダーみたいに
なっちゃったのかなあ、と
個人的にはそう思っていたのだけれど、
アメリカではともかくとして、
本国英国のみならず
欧州全体のディスコ・シーンでは、
きっちりと評価され続け、
独自のポジションを築くことに、
成功している模様である。
さて、ではトリビア。
今回はスター誕生つながり。
昔、お笑いスター誕生という番組がありました。
山田康雄さんの司会が好きでした。
山田さんはもちろん、
初代ルパンの声を当てていらした方です。
往時のクリント・イーストウッドも
この方の持ち役でありました。
でも僕にとっての山田さんは、
なんといっても、
グレアム・チャップマンなのです。
テレ東のモンティ・パイソンの吹き替え版が、
どうやらほとんど残されていないらしいことは
なんとも悔しい限りです。
一話分だけだけど見たことがある。
デニス・ムーアの回。
あれだけなんか、当時のVHSに
吹き替え版が収録されていたんですよねえ。
あ、そうそう、前回のような
サプライズ的トリビアは、
しばらくないので念のため。
もっとも、REAL LOVEの時の
国内の担当A&Rは、
実は面識あったりもするけれど。