14’12 別冊カドカワ 総力特集LUNA SEA | 浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

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そういう訳で、同誌がついに今週発売になる。

バンドのデビューから25年という
メモリアル・イヤー企画の一環である。


別冊カドカワ 総力特集 LUNA SEA (ムック)

¥1,620
Amazon.co.jp

さて、あるいはここにきて下さっている皆様方は
だいたいすでにお察しではないかと思われるし、
実際以前どこかで書いてしまってもいるのだが、


僕自身は、邦楽のアーティストをアルバム単位で
追いかけるということは今はほとんどしていない。

とりわけ、暗黒の90年代以降はなおさらである。

あ、これは音楽シーンのことではなく、
僕の経済状況が、という意味なので念のため。



それでもやっぱり、日常のいろんな場面で耳にして、
お、と思うものは引っかかるし記憶に残る。

そういう時は、アーティストも曲名も、
ちゃんと知っておきたくなってきちんと調べる。


たとえばスガシカオさんの『19才』であったり、
マイラバの『Man and Woman』であったり、
ほかDragon Ashの『Grateful Days』や、
あるいはアジカンの『リライト』等が挙がる。


時にはシングルを買ったり借りたりもする。

そういった中に、実はこのLUNA SEAの
『End of Sorrow』も入っていたのである。



たとえるならそれこそデュラン・デュランや
あるいはデペッシュ・モードみたいに


こう、いわばマイナー・コードを基本にして
有無をいわさず前面に押し出してくる感じは
実は結構キライではない。

まあ、このLUNA SEAの音楽が、
DDやデペッシュにすごく似ているとまでは
いってしまうと、やや語弊はあるのだが、
個人的には通じるものを感じてもいる。


しかし、このタッチのメロディーラインの場合、
載せる言葉がひどく難しいのではないかと思う。


明るさや希望といったニュアンスとは、
もちろんひどく相性が悪い。

かといって、短調だからという理由で
いつもいつも悲しみばかりでは、
さすがに食傷気味になってくる。


だからこそ、ルボンのある種の不条理さや、
ゴアの言葉の背後に透ける哲学性が、
楽曲の重要なアクセントの一つとなる。



そしてこのLUNA SEAもまた
この点に関しては、特筆すべき、
一貫したアプローチを採用している。

End of Sorrowの時にもすでに
漠然とそんなことを感じてもいたのだが、


今回代表曲のほぼおおよそを
改めてきちんと聴いてみて、
その印象を新たにした。


本当に独特の世界である。
彼らのリリクスは決して、
日常のレベルに降りてこようとはしない。
といって単なる反抗に留まることもない。

むしろ悠久とか、深遠といった、その種の
キーワードによってすべてが貫かれている。


少なくとも僕はそのように把握した。

まるで音楽によって、一つの神話体系の
構築を目指しているかのような印象がある。


今回の依頼を受けてからの、
編集長氏との幾度かの打ち合わせの席で、
僕はまあ大体そんなようなことを口にした。


彼の返事は確かこんな感じだった。

そうなんですよね。そういう方向性を
真正面から打ち出しているのは、
現状ではたぶん彼らだけなんです。

音楽というものが、その間口の広さを
これからもずっと維持していくためには、


やっぱりいろんなものがあった方が、
シーン全体が活気付くんだと思うんです。


今回の特集の企画意図っていうのは、
実はその辺りにもなくはないんですよ。

これには僕も諸手を挙げて同意した。

そんな感じのやりとりを交わしつつ、
ざっくりと方向性をすり合わせた上で、
今回の短編に着手したという次第である。



さて、今回の浅倉の原稿、
タイトルを『乱 0000-XXXX』という。

もちろん彼らの最新アルバム
A WILL収録の『乱』という
トラックからの借用である。


ただし、テキストの全体は、
同作所収のほかの楽曲はもちろん、
過去の印象的な作品群から、
割と自由に発想して仕上げた。


気がつけば、厳密な意味では
登場(人)物というものが
一人もいない原稿となっていた。

――どういうことか。

まあその点は是非、実際の作品の方で
確かめていただければと思います。


上の表記で人が()つきになっているのが
大きなヒントのつもりではあるのですが。



さて、実は今月の同じ日に発売になる、
別冊カドカワの特集号がもう一冊ある。


こちらはメモリアル・イヤーどころか、
まだ1stアルバムの発売に合わせてという
極めて早いタイミングであるにもかかわらず、
もう一冊分の記事が十分に組めてしまう、


つまりは、雑誌もCDもこの段階ですでに
おそらくは相応の売り上げが、
見込めてしまうだろうという超大物である。

メディアで見かけたり
名前を耳にしたりしない日は、
昨今はほとんどないかもしれない。
それこそノリにノッている感じである。


さて、いったい誰だと思います?

答えは、この方です。


別冊カドカワ 総力特集 ふなっしー (ムック)

¥1,700
Amazon.co.jp


だけどこの二冊を同時に出すって、
絶対にわざとだと思います。


まだ編集部に突っ込んではいないのですが、
九分九厘、意図的なものに違いないです。


ええと、何がいいたいかというとですね――。

まあだから、二冊交互に
音読してみるとすぐにわかるかと思われます。



ね、絶対わざとに決まってるよね。


あ、残念ながらというかなんというか、
とにかく僕はこちらの本の方には
今回は寄稿しておりませんので念のため。