ブログラジオ ♯6 Silly Love Song | 浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

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マッカートニーのソロ・キャリアの中からのチョイス。
ウィングス時代の作品。

この曲は何よりも、後半に出てくる
先駆的マッシュアップとでもいうべき展開が実に見事。
ポールの天才をまざまざと余すところなく見せつけている。

マッシュアップというよりはむしろ対位法とでも
いった方が近いのではないかと思うけれど、
要は同じコード進行に乗っていた三つのメロディーラインが、
次々と互いにオーヴァーラップして、
入れ替わり立ち代りに重なって、
最後には幻想的ともいうべき広がりを感じさせてくれる。
まあやや誉めすぎかもしれないけれど。

そしてこの人のすごいところは、
たぶん対位法とかそういういわばロジカルなアプローチではなく、
ほとんどもう直感みたいなものでこういうことができてしまうこと。
いや、所詮僕の想像に過ぎないんだけれど、
きっとそうだったんじゃないかなと思っている。

だってビートルズ時代のバラードなんてどれもすごいから。
どの曲も本当に美しい。
バラードじゃなくても、たとえばDrive My Car。
どうしてこの和音にこのメロディーが乗るのかさえわからない。
というかこんなハーモニーのポピュラーソングがあるなんて信じられない。
それがもう半世紀も前の出来事で、しかも全然破綻していない。

しかし改めて聴くと、ウィングス時代のポールって
本当に幸せそうだよなあ。ちょっとやっかみたくなるくらい。
というのもこの時期の彼は、育児とバンド活動の両立というのを
自分の目標に掲げて、それを過不足なく実践していたはずだから、
相応の手応えを感じていたのに違いないと思われる。

ただやはり、彼の相方を務めるには、
リンダやレニー・デインでは役者不足だったことはどうにも否めず、
ウィングス時代の作品には、レコーディングの過程で
とんでもない領域まで昇華されたといえるトラックは
残念ながらほぼ見つけることができない。

だから改めて、レノンとこの人が一緒に仕事していた
ビートルズって存在そのものが奇跡だったんだな、と思うしかない。
まあこの辺は書き始めるときりがないので、
また機会を改めて。

さて、今回はトリビアはお休みして、業務連絡。というか、個人的な謝罪。
わかる人だけわかってください。

関係者の皆様、彼に関するあの企画に関しまして結局形にできず、
のみならずそのまま何のアクションも起こせずに
ここまできてしまいましたこと
平にお詫び致したいとは常々思いつつ、
といって直接ご連絡差し上げる勇気も出せず、
結局こんな場所で申し上げさせていただきます。お許し下さい。
あの折の不義理の数々につきましては
本当に申し訳ありませんでした。
正直弁解のしようがまるでありません。
万が一この文章お目に留まることがありましたら、
ご寛容賜れれば幸いです。
もし今後お目にかかる機会が持てれば
改めてお詫びさせていただきたく存じます。