俳優の城田優(28)が13日から上演のミュージカル「ファントム 『オペラ座の怪人』の真実」(アーサー・コピット脚本、モーリー・イェストン作詞作曲、ダニエル・カトナー演出)で、仮面で甘いマスクを封印し、異形の顔の主人公、ファントム(エリック)役に挑む。その容貌により幽霊(ファントム)のように生きざるを得なかった主人公が、人間らしさを取り戻す過程を「何より感情を大事にして演じたい」と話す。
仏作家、ガストン・ルルー(1868~1927年)のベストセラー小説『オペラ座の怪人』が原作。原作が同じ作品にアンドリュー・ロイド=ウェッバー作曲版やケン・ヒル版の「オペラ座の怪人」があるが、本作はより深く主人公の人間性や内面の葛藤を掘り下げている。
エリックは顔半分を仮面で覆い、オペラ座の地下で孤独に暮らす。ところが、ある日、亡き母に似た歌声を持つオペラ歌手志望のクリスティーヌ(山下リオ)と出会う。「初めての恋。母の愛を受けていた幼少期の多幸感が久々に胸によみがえる」が、一方で、目覚めとともに暴れだした自我をどうしようもできず、やがて破滅に転じていく。うねる内面を丁寧にメロディーに乗せたイェストンの楽曲を、城田はエリックの心情になりきって歌う。「城田優とも、過去のどの役とも違う、エリックの声をお聴かせしたい」。29日まで、東京・赤坂ACTシアター。キョードー東京(電)0570・550・799。大阪公演あり。(津川綾子)