朝日新聞社は１２日、東京電力福島第１原発事故をめぐり政府の事故調査・検証委員会がまとめた吉田昌郎元所長の「聴取結果書（調書）」に関する記事を誤りと認めて取り消し、読者や関係者に謝罪する木村伊量社長の談話を同日付の朝刊に掲載した。１１日に開いた社長の謝罪会見の内容や、掲載の経緯を説明する記事も掲載した。
「みなさまに深くおわびします」と題した社長の談話では、「所員の９割が吉田氏の待機命令に違反し撤退した」と、同社が５月に報じた記事について、吉田氏の調書の評価を誤ったと説明。「東電社員がその場から逃げ出したかのような印象を与える間違った記事になった」と謝罪した。
「経緯報告」とした記事では、誤った記事を掲載した理由を「取材が不十分だった」などと説明した上で、他社が異なる内容を報じた後も「外形的な事実に誤りはない」と考えを変えなかったため、記事取り消しが遅れたとした。