体調に自信がなく、ライブ活動は難しい-。統合失調症を抱える女性が自宅で作詞作曲しながら音楽活動を続けている。インターネットとデジタル機器を利用しての音楽活動。これまで音楽活動が難しかった人も多くの人に曲を届けられるようになっている。(村島有紀)
パソコンで作曲
「歌は好きでしたが、楽器は演奏できない。楽譜も書けないのに作曲ができるのが自分でも不思議です」
東京都町田市の山本真梨子さん(27)は5年ほど前から、シンガー・ソングライター「Firia(フィリア)」として音楽活動を続けている。パソコン用の作曲ソフト「GarageBand(ガレージバンド)」を使い、ループ音源と呼ばれるデジタル情報を組み合わせ、これまでに10曲を作った。CD収録に加え、自身のホームページ(firia.info)や動画投稿サイトにアップしている。
山本さんは高校卒業後、パソコンを使ったプロダクトデザインなどを学ぶデザイン専門学校に通学。しかし、被害妄想や自殺願望、幻聴が激しくなり、心療内科で受診したところ、統合失調症との診断を受けた。「電車の中で『死ね』『死ね』という声が聞こえ、苦しかった。薬の効果も、そのときは実感できなかった」