秋田市発注の浄水場修繕工事の業者選定をめぐる贈収賄事件で収賄罪に問われた元市上下水道局浄水課設備係主席主査、長谷川洋被告(53)=懲戒免職=が、贈賄罪に問われた機械設備会社「高富製作所」実質経営者、高橋良平被告(42)に自宅の犬小屋を作ってもらうなど起訴内容以外でも日常的に癒着していた実態が9日、秋田地裁の初公判での検察側冒頭陳述で明らかになった。
冒頭陳述によると、長谷川被告は平成17年以降、高橋被告から中元や歳暮を受け取ったり、約20万~30万円相当の海釣りの船用具を無償で供与されていたほか、船の陸揚げ・固定、釣り案内、遊技器具の溶接、犬小屋作りなどをしてもらっていた。
高富製作所以外の業者関係者からも物品供与や役務提供を受けていたという。
修繕工事の業者を選定する際には複数の業者の相見積が必要だが、高橋被告は金額の高い他社の見積書を偽造して用意し、長谷川被告に渡していた。業者間で白紙の見積書を融通し合う慣行があるという。
初公判を傍聴した秋田市の佐藤佐太幸・上下水道事業管理者は「驚くべき事実ばかりだった。職員にコンプライアンス(法令順守)を徹底させる。見積書の件も早急にやめさせたい」と話した。
起訴状によると、長谷川被告は高富製作所と契約を結ぶ便宜を図った見返りに、高橋被告から昨年3月に現金16万円を、今年3月に船外機(取り付け料金を含め約114万円)を受け取ったとされる。初公判で両被告は起訴内容を認めた。