風と遊ぶ彫刻 兵庫・三田に新宮晋のミュージアム | 毎日のニュース

毎日のニュース

今日の出来事をニュース配信中!

 山の稜線(りょうせん)を背景に一つ一つ見てもよし、丘陵から12作品全体をながめてもよし。そんな彫刻の野外美術館「新宮晋(すすむ) 風のミュージアム」が先月、兵庫県三田市の県立有馬富士公園にオープンした。有馬富士の麓、千丈寺湖畔の緑に囲まれた約3000平方メートルのスペースに、同市に居を構える造形作家、新宮晋(76)の作った風で動く立体作品が、悠然と並ぶ。

 「人間が考えた創造力と自然の対話がすごい」。建築家、安藤忠雄(72)の言葉が、この地を簡潔に表現している。新宮の立体造形は「風の彫刻」と呼ばれる。少しでも風を受ければステンレスやコールテン鋼でできた作品はクルクルと動く。里山の自然をキャンバスに、踊っているようにさえ見える。

 遠い親戚にあたる洋画壇の巨匠、小磯良平のもとで絵画を学んでいた新宮が、立体造形に取り組んだきっかけは、やはり小磯にあった。ある日、テレビ放映された室内飛行機のコンペを目にとめた小磯は、室内軽量彫刻を思いつく。しかし、小磯はすでに大画伯の身。ならば自分が、と絵画からの転身を決意した。