安倍晋三首相とオーストラリアのアボット首相が8日署名した経済連携協定(EPA)は、日本にとって初の農業大国との協定となる。日本は豪州が自動車にかけている関税の撤廃を勝ち取ったが、代わりに豪州産牛肉の関税を段階的に削減するなど農産物の門戸を拡大する。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の行方次第では牛肉関税がさらに下がる可能性もある。
日本はこれまでに13カ国・地域とEPAを結んでおり、豪州は14番目となる。協定は双方の国内手続きを経て、来年にも発効する。
今回の協定は豪州市場での競争力強化を目指す日本の自動車メーカーには朗報だ。豪州は5%の自動車関税を、中小型車については発効後すぐ、大型車は3年目に撤廃する。韓国は日本に先駆け4月に豪州と自由貿易協定(FTA)に署名しており、豪州市場で韓国メーカーよりも不利な競争を迫られる懸念が強まっていた。
これに対し、日本は現在38・5%の牛肉関税を発効直後に冷蔵品で32・5%、冷凍品で30・5%にそれぞれ削減。その後も段階的に引き下げ、冷蔵品は15年目に23・5%、冷凍品は18年目に19・5%とする。
このほか、一部のチーズでも関税を引き下げたり、無税、低関税の輸入枠を設定したりする。