原発新基準施行1年、遅れる規制委審査 事業者と相互不信深刻 | 毎日のニュース

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 原発の新規制基準の施行と同時に始まった原子力規制委員会による安全審査が、8日で丸1年を迎える。当初「半年」を目安にしていたが、審査は大幅に遅れ、電力需要のピークになる8月までの再稼働は絶望的だ。優先的に審査が進む九州電力川内原発(鹿児島県)でも、再稼働は今秋以降の見込み。何が審査を遅らせているのか。

 「事業者がきちっと対応してくれればもう少し早くいったかなという思いがある。福島第1原発事故が起こった事実を厳しく受け止めるという姿勢に欠けているから、そこに(規制委と事業者の間に)温度差があったのかもしれない」

 規制委の田中俊一委員長は審査から1年を迎えるにあたってこう語った。

 審査は昨年7月8日に始まり、計12原発19基が審査中。今月7日までに計122回の公開審査会合を数えたほか、毎日のように事業者から申請内容を聴取している。会合の中では、事業者の準備不足に規制委から厳しい指摘が相次ぐ。

 先月下旬に開かれた会合では、規制委の更田(ふけた)豊志委員が東北電力に対し「とりあえず申請して、議論の中でクリアできるレベルを探るという姿勢では困る」と憤りをあらわにした。東通原発1号機(青森県)を申請した東北電は、安全性に関わる具体的な数値を求める規制委側に対し、「検討中」と繰り返したからだ。