【ワシントン=加納宏幸】米国、イラン両政府の高官が16日、ウィーンで始まったイラン核協議の場を活用してイラク情勢をめぐって協議した。米国務省当局者は協議に先立ち、イラクでのイスラム教スンニ派過激派組織「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」の攻勢がイランを含む地域にとって脅威であることを確認し、イラクの宗派対立への関与を自制するよう求めると説明した。
イランとの協議に関し、アーネスト大統領副報道官は16日、(1)核協議とは完全に切り離す(2)軍事的な調整は行わない(3)イラクの将来について議論することはしない-の3点を記者団に強調。国防総省のカービー報道官も「イラクでの軍事行動をめぐりイランと調整する計画はない」と述べ、軍事協力を明確に否定した。
一方、オバマ米大統領は16日、バグダッドの米国大使館や館員の安全を確保するため米軍の要員を最大約275人派遣することを決め、議会に書簡で通告した。
書簡によると、米軍は大使館員がイラク国内の総領事館などに退避することを支援する。戦闘に備えて武装しており、必要に応じて同国内の米市民の保護に当たる。治安状況が改善するまでイラクにとどまる。