学校の授業で生徒にタブレット端末を配布し、活用する動きが広がってきた。生徒同士で学び合えるほか、個々のレベルに応じた学習ができる利点があり、その効果が期待されている。国も平成32年までにすべての学校でタブレット端末を1人1台配布しようとしており、米アップルや日本マイクロソフト(MS)が教育委員会などへの売り込みに力を入れている。
調査会社IDCジャパンによると、国内の教育用タブレットの出荷台数は、30年に現在の5.1倍の128万台、タブレットを活用したシステム構築などソリューション市場の売上額は同2.9倍の759億円に拡大する見通しだ。日本MSの樋口泰行社長は「子供のころから当社の製品を利用してもらうと、大人になってからも使ってもらえる。長期的な戦略でも非常に重要」と強調する。
タブレット端末の基本ソフト(OS)では、アップルの「iPad(アイパッド」の操作性やアプリの数・質が充実している。
これに対し、MSの「ウィンドウズ」はワードやエクセルといったパソコンソフトとの連携で強みがある。
ただ、教育現場でのタブレット端末の普及には課題もある。4月からタブレットを使った授業を始めた佐賀県の高校では1台5万円の端末を自費購入する形にしたため、保護者から負担が重いとの声もあった。本格的に普及させるには「国の補助の拡充やメーカーによる端末価格の引き下げが必要」(学校関係者)との意見も出ている。