骨太方針の素案に、法人税の実効税率の引き下げが明記され、最大の焦点だった税率は「20%台」で決着した。ただ、減税に伴う税収の穴を埋める財源については「恒久財源の確保」との表現にとどまり、財源確保に向けた具体策の結論は事実上、年末に先送りされた。財源確保策のめどなき“見切り減税”といえ、今後、経済成長と財政再建の両立を図りながら税率20%台の実現に向けた道筋をどう描くかが問われる。(今井裕治)
「日本の法人税は成長志向型に変わる」。安倍晋三首相は13日、官邸で記者団に対し、法人税減税が政権の経済政策「アベノミクス」の成長戦略の柱になると強調した。税率の水準はドイツ(29%程度)並みへの下げが念頭にあり、国際的に見劣りしない水準になる。これにより、国内外からの投資を呼び込み、経済を上向かせるというのが政権の描く“青写真”だ。
問題は税率1%の引き下げで4700億円の減収となる税収の穴をどう埋めるか。だが、素案がまとまってもなお財源をどう捻出するかについては政府・与党内の意見に隔たりがある。 財政健全化の観点から麻生太郎財務相は減税を補う課税ベースの拡大による恒久財源が必要だと主張。これに対し甘利明経済再生担当相は、経済成長に伴う税収上ぶれ分の一部を財源に充てるべきだとの立場だ。