【W杯コラム】地球の裏側で“カキ”に出合う | 毎日のニュース

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 巨大な日系人社会が築かれているブラジル。日本の食材も多いのではと思い、宿泊しているイトゥのホテル近くの大型スーパーへ寄った。あるにはあったが、しょうゆやカップ麺など、どこの国でも見かけたものばかり。少しがっかりして生鮮コーナーに回ると、なじみのある果物が山積みになっていた。

 ラベルには「CAQUI FYU」。富有柿である。海外でまず見かけたことのない果実に驚いていると、カートを押す中年男性に英語で話しかけられた。「このフルーツを知らないのか」

 「パーシモンでしょ」と答えると「いいか、これは“カキ”(完璧な発音だった…)だ。甘くて最高だぞ。赤みが強いほうが、熟していておいしいんだ」

 まさかブラジル人に柿の選別法まで教わるとは…。調べてみると、東アジア原産の柿の生産量は中国が圧倒的に多いが、韓国、日本に続いてブラジルが世界4位だという。

 この地で栽培を始めたのはやはり日系移民。気候の異なる地球の裏側まで広く浸透させたひたむきさに頭が下がる思いがした。(奥村信哉)