政府が骨太方針の素案で、来年度から法人税の実効税率を引き下げる方針を示したことに対し、経済界からは歓迎の声が上がった。「数年間で20%台まで引き下げることを目指す」と明記され、経済界が求める「経済協力開発機構(OECD)並みの25%」に一歩近づいた。ただ、今後議論される代替財源によっては負担が生じる企業が出る可能性があり、警戒感も出ている。
法人税の実効税率引き下げを要望してきた経団連の榊原定征会長は「安倍首相の決断を高く評価する。ぜひ、実質的な税負担が軽減される形で実行していただきたい」と歓迎のコメントを発表した。
その中で、安倍政権が目指す経済の好循環について「経済界もアベノミクスの効果を積極経営、前向きの投資、雇用・賃金の向上につなげるよう努力したい」と全面協力を誓った。
今回の政府の方針については、具体的な引き下げ幅や時間軸などが不透明だが「いきなり20%半ば、20%前半というのはとても無理だと思っている」(富士通の山本正已社長)など、首相の難しい決断に理解を示す声が経済界には多い。
さらに「わが国の厳しい財政事情に鑑みて、安定的な代替財源の確保が必要であることは明白」(経済同友会の長谷川閑史代表幹事)という認識も共通している。