■第14回イタリア大会(1990年)決勝T1回戦
しぶとくて、フェアで、闘志溢れるプレー。日本にもファンの多いアイルランド代表だが、W杯初出場は意外なほど最近のことで、1990年のイタリア大会だった。だが、1次リーグを3分け(1-1、0-0、1-1)とし、勝ち点、得失点差などで並んだ強豪オランダを抽選の末に押しのけて決勝トーナメント進出を決めた。しぶとさは初陣からあった。
決勝トーナメント1回戦もルーマニアと0-0の末に、PK戦を制して8強入り。会場のサポーターを熱狂させたジャッキー・チャールトン監督は「今夜、アイルランドのパブでは、1年分のビールがなくなると思うよ」と語った。
この人は66年大会を制したイングランド代表だが、あのボビー・チャールトンの兄として知られ、86年に就任すると実績のないチームを欧州選手権とW杯に導いた。ユーモアあふれる人柄で人気は絶大だった。
次の1994年米国大会では、1次リーグ初戦で強豪イタリア相手に決勝点を挙げたホートンをたたえ、「彼はいつも、あのシュートを練習していたんだ。決まったのは初めて見たけどね」とニヤリと笑った。90分でのW杯初勝利がイタリアからというのも、アイルランドらしい。そして、この大会でも決勝トーナメントに進んでいる。