本格的な夏の到来を前に、千葉県南部で特産の「房州うちわ」作りが最盛期を迎えている。房州うちわは、「京うちわ」(京都市)、「丸亀うちわ」(香川県丸亀市)と並ぶ日本三大うちわの一つとされ、国の伝統的工芸品に指定されている。
細い竹の丸みを生かした握りやすい柄と、「窓」と呼ばれる美しい格子模様が特徴。明治時代に始まり、昭和初期には漁師町の女性約千人が内職仕事として手掛けていたが、後継者不足で現在の工房は5軒ほどだ。
南房総市の宇山正男さん(83)は全工程を1人でこなせる唯一の職人。「使い込むと柄があめ色になって趣が出る」と語る。
価格は大きさや材質によって違い、税別で900円から2万円。問い合わせはうやま工房、電話0470(36)2130。