【視線】「真央は私のスケート概念を変えた」タラソワが浅田に伝えた熱き魂   | 毎日のニュース

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 「私の小鳩よ。頑張るのよ。頑張るのよ」。2月20日に行われたソチ五輪フィギュアスケート女子フリー。リンクに登場したまな弟子、浅田真央(23)の姿に、地元テレビ局の実況席にいたフィギュアスケートコーチ、タチアナ・タラソワ(67)は、絞り出すような声で心の底から呼びかけた。「小鳩」はロシア語で両手で包みたくなるような「いとおしい女の子」を意味する。この表現に、浅田に対するタラソワの思いが全て凝縮されていた。

 ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。浅田と一緒に選んだ曲目だった。2人の絆は、コーチと選手の間柄で臨んだ前回大会にまでさかのぼる。タラソワ自身、日いづる国に現れた天才少女のことは、10年以上前から知っていた。

 ソチでは、フリーの演技の振り付け役となった。ロシアフィギュアスケート界の重鎮が、自国初の冬季五輪で、直接の師弟関係にない外国人選手に関わることには物議があった。しかし、昨年夏に直接、頼みに訪れた「真央の真摯(しんし)な気持ちを断ることはできなかった」。