東京都国立市で骨董品店主の田代正美さん(73)が刺殺された事件で、店内に数百万円の価値があるとみられる骨董品が残されていたことが9日、関係者への取材で分かった。犯人が骨董品に詳しくなく、場当たり的に別のつぼなどを強奪した可能性がある。10日で事件から1週間となるが、警視庁立川署捜査本部は事件直前に田代さんと会っていたとみられる客や店近くで目撃された不審車両の特定を急いでいる。
田代さんと親しい骨董品店主によると、店内に残されていた骨董品のうち、店中央のショーケースに飾られていた唐津焼は約200万円の価値があるとされる。一方、なくなったのは田代さんが事件当日に買い取った短刀や茶托、店内にあったつぼなど計十数点で、最高でも1点数十万円程度だという。
犯行時間とみられる3日午後5~6時に、店近くに止められた不審なワゴン車に小柄な男がつぼを運び込む様子が目撃されていたことも判明。つぼはむき出しの状態だったといい、捜査関係者も「骨董品の価値が分かっていれば、もっとていねいに扱うのではないか」と指摘する。