タイのインラック首相が憲法裁判所の違憲判決を受けて失職し、混乱が拡大しています。とはいえ、インラック氏の兄、タクシン首相が追放された2006年以来、反タクシン派(黄シャツ)とタクシン派(赤シャツ)の政争は常態化しています。
民主主義国家なら「選挙で解決」が常道なのですが、タイではそういきません。地方の農村部に厚い支持を広げるタクシン派に対し、中流階級や富裕層を中心とした反タクシン派は少数派で、選挙に勝てません。大規模デモで政権を揺さぶるしかなく、2月の下院選はボイコットで無効に追い込みました。
事態打開のためには、タイが民主国家として一段と成熟する必要がありそうです。タイは東南アジアにおける重要なパートナーであり、自由貿易協定(FTA)を結ぶ日本も無関心ではいられません。(編集長 近藤真史)