新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文不正問題で、理化学研究所の調査委員会は8日午前、小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)が求めていた再調査は不要との報告書をまとめ、理研の理事会に報告した。これを受け、理研は再調査しないことを決定。小保方氏の不正を認定した調査委の最終報告が確定した。
調査委は小保方氏から提出された追加資料などを検討した結果、再調査が必要な新証拠はないと判断したもようだ。理研は同日の理事会で調査委の報告書を了承し、再調査しないとの結論と論文の撤回要請を小保方氏側に伝えた。午後に東京都内で記者会見を開く。
理研は7日夜にも調査委から報告を受けたが、途中報告だったため結論を見送っていた。
調査委は4月1日に発表した最終報告で、小保方氏の博士論文の関連画像の流用を捏造(ねつぞう)、DNAの解析画像の切り張りを改竄(かいざん)と認定。これに対し小保方氏は悪意のないミスで不正ではないとして同8日、不正認定の撤回と再調査を求めて不服申し立てを行い、調査委が再調査を実施すべきか審査していた。
理研の規定では、小保方氏が再度、不服を申し立てることはできない。再調査しないことが確定したことを受け、理研は著者全員に論文撤回を勧告するとともに、懲戒委員会が関係者の処分の検討を開始する。
小保方氏は4月20日、論文に掲載すべきだった画像などの追加資料を調査委に提出し、さらに追加資料の準備期間として2週間の猶予を求めた。
5月4日には論文執筆時の多忙さを説明する陳述書や、悪意のない画像の切り張りが捏造や改竄にあたらないとする過去の判例などを提出した。しかし、いずれも新たなデータが含まれていなかったことから、調査委側は不正の認定を覆す理由は見当たらないと判断したとみられる。