【ゆうゆうLife】家族がいてもいなくても(353) 老人ホーム、自分で「入る」 | 毎日のニュース

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 取材依頼の電話が立て続けにあった。なぜかテーマが同じで老親介護だ。

 今や60代はまだまだ介護世代らしいが、私の場合、母が倒れたのが30年近くも前のこと。で、父が92歳で亡くなってからは既に7年もたつ。

 長い長い介護期間だったけれど、そのときの現実感はすっかり薄れてしまっている。「どうでした?」と聞かれても、「どうだったかなぁ…」みたいな感じだ。

 むしろ、「介護する側」より「介護される側」の自分の未来を想像する方がずっとリアルな気分だ。

 例えば、どの時期に老人ホームに入ろうかなぁ、とか、既に考えている。

 私の場合、あまり早く入居するとお金が続かない。ぎりぎりまで1人暮らしで頑張るしかない。それで、「要介護4」ぐらいで、お気に入りの安いホームに入居するつもり。以後は、日々、ベッドで思い出に浸って楽しく生き、5年以内にはこの世を去ろうかなぁ、と思って、せっせとお金の計算をしたりしている。

 その予定のおかげで、これからこそが自立自助で頑張って働いていくとき、と張り切っているのだけれど、取材の電話で聞かれるのはそういうことではない。

 「老親を老人ホームに入れることをどう思いますか?」とか、「どうやって親を老人ホームに入れたのですか?」とか。

 「はあ?」という感じだ。

 「入れるって、なに?」となぜかカチンときてしまう。

 おかげで、いちいち「入れるじゃないでしょっ、親は子供じゃないし、物じゃないし、せめて、入居していただくとか言うべきじゃないですか!」と文句を言うので、相手に辟易(へきえき)とされてしまったようだった。