日銀は7日、4月7~8日の金融政策決定会合の議事要旨を公表した。決定会合で何人かの審議委員が、経済成長率が従来の見通しより下振れても、人手不足で賃金が上がりやすくなっていることから、成長率を超えるペースで物価が上昇するとの見通しを示していたことが分かった。
日銀は4月30日に発表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2014年度の実質経済成長率の見通しを、1月時点の予測の1.4%から1.1%に引き下げたが、物価上昇率が同年度に1.3%、15年度に1.9%とする見通しを変えなかった。
4月7~8日の決定会合で、複数の委員が「成長率自体は下振れているが、(需要と潜在的な供給力の差を示す)需給ギャップが縮小しており、成長率以上に賃金や物価に対する上昇圧力が強まっている」と指摘。先行きの物価上昇の維持に自信をみせた。
ただ、別の委員は、労働力の供給が追いつかないなどの制約により「賃金や物価の上昇は持続的でない可能性がある」と述べ、大勢の委員が示した物価上昇に対する強気な見方に懸念を示しており、委員の間で見解の違いが出ている。