【ワシントン=小雲規生】オバマ米大統領は12日、ホワイトハウスでウクライナ暫定政権のヤツェニュク首相と会談した。オバマ氏は会談後、記者団に対し、16日に行われるウクライナ南部クリミア自治共和国のロシア編入の是非を問う住民投票について「決して認めることはない」と話し、完全に拒否する立場を示すとともに、正当性に疑問を呈した。
オバマ氏は、ロシアがウクライナに「銃を突きつけている」状況では、ウクライナは自らの将来を決めることはできないと主張。ロシアによるクリミア半島への部隊の展開は、国際法違反だと改めて指摘し、ロシアの強い影響下で行われる住民投票を批判した。ロシアがウクライナへの介入姿勢を改めなければ、米国や欧州連合(EU)などの国際社会は「ロシアに代償を払わせる」とも述べた。
ヤツェニュク氏は「われわれは自由、独立、主権のために戦い、決して屈することはない」と述べ、クリミア半島を含めた領土の統一を維持する考えを強調した。ロシアに対しては「軍を撤収させ、銃や戦車のない状態で、暫定政権との対話を開始する」ことを求めた。
ヤツェニュク氏はさらに、10日以内にEUとの統合に関する文書に署名すると表明し、「ウクライナは現在も将来も西側の一員だ」と強調。経済的、歴史的なつながりが深いロシアの重要性も踏まえ、「ロシアはウクライナがEUの一部であり、ロシアの良き友人でもあることを認識すべきだ」と話した。
一方、米上院外交委員会は同日、ウクライナに対する10億ドル(約1020億円)の債務保証などを含めた経済支援法案を可決した。法案には、ウクライナのヤヌコビッチ前政権やロシア政府の関係者への経済制裁や、ウクライナ支援の要となる国際通貨基金(IMF)の融資能力拡大を承認することも盛り込まれている。