【忘れない~東日本大震災3年】両親と妻子の4人失い…ラグビーW杯の誘致誓い、前へ | 毎日のニュース

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 岩手県山田町で11日開かれた県と町の合同追悼式。ラグビークラブチーム「釜石シーウェイブス」の理事、浜登寿雄(はまと・としお)さん(45)は遺族代表として白菊を献花した。失った家族4人に黙とうし、日本で開かれる2019年ラグビーワールドカップの一部の岩手誘致を目指す思いを新たにした。

 震災時、釜石市内のクリニック事務長として患者らを高台に誘導している間、約20キロ離れた山田町沿岸の自宅もろとも、父母と妻の千賀子さん=当時(42)、三女の心海(ここみ)ちゃん=同(1)=が流された。発生11分後につながった携帯電話で妻に「すぐ逃げろ」と呼びかけたのが最後。今も母以外は見つかっていない。

 遺体安置所に連日通っていた平成23年3月下旬。避難先の妻の実家で朝、枕元に、無事だった長女(18)と次女(16)がそっと新聞を開いて置いてくれた。シーウェイブスの選手らが、救援物資搬送ボランティアにひたむきに汗を流す記事だった。

 「今必要なのは前向きな希望だ。くじけそうな三陸や東北に希望をみせたい」

 誘致運動を始めた。1万5千人規模のスタジアム計画地は、クリニックもあった釜石市鵜住居(うのすまい)町。「ラグビーワールドカップを釜石で!!」の旗がはためく。生活再建が第一と思う。だが、今年10月の立候補都市締め切りは大きな契機だ。

 「生き残った一人一人ががんばっている。自分もできるだけのことをやるのが一番の供養」。来年3月の開催地決定で、復興の目標を作りたい。