教育委員会制度改革をめぐる自民、公明両党の協議が11日に決着したことで、今後の論戦は国会の場に移る。安倍晋三首相は首長の権限強化を目指したが、教育の政治的中立性にこだわる公明党の意向を反映した与党案となった。首相が譲歩したのも、集団的自衛権の行使容認が政治課題になる中で、公明党との連携を演出したようだ。(内藤慎二)
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首相は2月18日、衆院本会議場で、自民党の教育委員会制度改革に関する小委員会の渡海紀三朗委員長らから、公明党との協議方針について報告を受けると、こう指示した。
「公明党としっかり話し合ってください」
発言を直接聞いた一人は「『話し合え』とは『配慮しろ』という意味だと受け取った」と振り返る。
中央教育審議会は昨年12月、首長が教育長を任免することを前提に、教育行政の最終責任者(執行機関)を教委から首長に移す「A案」と、現行通り教委に置く「B案」の2案を答申。首相に近い下村博文文部科学相は首長の権限を強めるA案を支持していた。
また、首相は第1次政権で愛国心を盛り込んだ改正教育基本法を成立させたものの、具体的な教委改革を実現できないまま退陣したため、今回、水面下で首長権限などを強める「改革工程表」を作成していた。