対ウクライナ供給停止懸念 EU、ガス「脱露」模索 制裁措置発動にも影響 | 毎日のニュース

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 【ベルリン=宮下日出男】ウクライナ情勢で対ロシア制裁発動の構えを見せる欧州連合(EU)にとって、頭の痛い問題が天然ガスの供給をロシアに依存している現状だ。プーチン露政権はウクライナへのガス供給を停止する動きをみせており、その場合、ウクライナ経由でガス供給を受ける欧州諸国にも影響が及ぶ。20、21の両日に開かれるEU首脳会議で、ガス供給の「脱ロシア化」についても議論される見通しだ。

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 EUのエッティンガー欧州委員(エネルギー担当)は10日付ドイツ紙ウェルトのインタビューで、ウクライナへのガス供給が停止されても「われわれは5年前より強くなっている」と述べ、欧州への影響に対する不安の払拭を図った。ウクライナへのガス供給をめぐっては、露国営天然ガス企業ガスプロムが7日、ウクライナの滞納代金19億ドル(約1960億円)を指摘し「ただでは供給できない」と打ち切りを示唆、懸念が高まっていた。

 ガスプロムは2006年と09年、契約更新などをめぐる問題でウクライナへの供給を停止。ウクライナ経由でガス供給を受ける東欧やバルカン諸国を中心に欧州は混乱した。今回、EUはロシアへの段階的な制裁方針を決めており、ガスプロムの警告は欧州への牽制(けんせい)ともみられる。

 これに対し、EUは対応の検討を開始。各加盟国のガス備蓄状況は暖冬の影響でガス消費が抑えられた結果、昨年よりも良好で、ウクライナへのガスが停止しても60日間はまかなえるとの試算もある。