例外的に明るく軽快で柔和
マーラーの交響曲の特徴を表現するとき、「退廃的」「死の匂い」「厭世(えんせい)的」など暗い言葉が使われることが多く、確かにそういった表現がぴったりな曲が多い。しかし、交響曲第4番は、最近まで「大いなる喜びへの賛歌」という副題が付いていたほどで、マーラー作品の中で例外的に明るく軽快で柔和な雰囲気にあふれ、人気も高い。
特に「安らぎにみちて」という作曲家自身の指示がある第3楽章と、ソプラノが「天上の楽しい生活」を歌う第4楽章は、幸福感に満ちた世界に聴き手を誘う美しさを持っている。
先日亡くなった巨匠クラウディオ・アバドが、ウィーン・フィルを指揮した最良の時期の1977年の録音は、美しくふくよかな音楽の喜びに満ちている(製品番号UCCG-9054 SACD)。(モーストリー・クラシック 編集部 平末広)