【カイロ=大内清】内戦下にあるシリアの在外人権団体によると、北部の中心都市アレッポ周辺で1日から2日にかけ、アサド政権側による空爆があり、市民ら少なくとも70人を含む約90人が死亡した。
空爆は反体制派が拠点とする複数の地区を狙ったもので、反体制派に参加している国際テロ組織アルカーイダ系武装勢力「ヌスラ戦線」の戦闘員10人も死亡した。
アレッポは一部郊外を反体制派が支配しているものの、市街地では激しい戦闘が続いており、政権側、反体制派ともに決定打を欠く状況が続いている。
政権側は昨年以降、アレッポでドラム缶などの円筒状の容器に石油類を詰めた「たる爆弾」と呼ばれる焼夷(しょうい)弾を多用しており、多くの市民が巻き添えとなっている。
シリア内戦をめぐっては、スイスで1月22日から10日間、政権側と反体制派統一組織「シリア国民連合」の双方が参加した国際和平会議が開かれたが、具体的な成果はなく、協議が持ち越しとなっている。
在外人権団体によると、内戦につながる反政府デモが発生した2011年3月以降の全土での死者は、今年1月末時点で13万6千人を超した。